第46話 『通』その2

「UFOキャッチャーやろ」

「つまらんものを…」

「なんで?俺、コレ欲しいけど」


なんだかんだで300円で何だかパズルみたいなオモチャを獲って喜んでいた。

「オマエ、相変わらず、AVとか好きだね、面白い?」

「桜雪は、ちょっと女みたいなトコあるからさ…解らないんだろうけど、みんな好きだよ」

「はぁ~解らないわ…そんな頻繁に買うなら、レンタルでいいじゃん」

「レンタルの方が安いの?」

「当たり前だろ…買うより高いレンタルってあるのかよ…」


「帰ろうよ…つまらないし…こんな店にいたくない」

「しょうがねぇな~、ドンキ行こう」

「ドンキ好きだね…オマエ」

「最近ハマっているアイスがあるんだ」

「うん…俺、喉渇いたからジュースがいい」

「アイス食えよ!!」

「食うけど…その前に喉が渇いた」

プリンシェイクを奢ってもらった。

「アイス美味いだろ?」

「バナナの味がする」

「バナナアイスだからな、本物のバナナみてぇに美味いよな」

「バナナがいいなら、本物食えばいい…みたいに美味いだろって…なに?」


「なんか俺、今日、オマエに奢ってばっかいる」

「うん、俺、金ないから」

「オマエのほうが稼いでんだろ?」

「そんなことはない…俺は住宅ローンとか大変」

「なんなら、この仮面ライダーのフィギュア買ってもらってもいいくらい」

「なんで俺が?」

「俺、ファイズは持ってるんだ」

「えっ?この赤いやつ?」

「うん…だからカイザとデルタも欲しいんだ」

「黄色いのと…白いの?」

「うん、中古だから2つで6,000円なんだ、オマエがAV買わないで、レンタルにすれば、毎月、俺に買ってあげられると思うんだ」

「なんでオマエに?」

「それだけで俺は幸せになれるんだ…少しだけ」


買ってくれなかった。





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