細胞発電所 問題点
細胞発電所は夢のような発明ですが、ここで実現までの問題点や運用でのリスクについて考えてみましょう。
①スケールアップしたときの電力効率の低下について
生物種によりますが、微生物は細胞増殖によって細胞密度が高くなると、バイオフィルムを形成します。もし、このバイオフィルムが電極壁面に付着すると、対流による電極付近での細胞循環がうまくいかず、電極における電子受容の効率低下が懸念されます。
このため、電力効率維持のためには細胞密度の管理が必要となると考えられます。培地内の吸光度を測定し、細胞密度をモニタリングする管理職が想定されます。
また、純粋培養だったものが、継代を重ねるうちに細胞自身に変異が入ったり、他の生物のコンタミが発生する可能性も考えられます。これらに関しても、適宜DNAシーケンスによるサンプル調査をおこなう管理職が必要であると考えられます。
その他、スケールアップ時の細胞増殖についての効率化を図ることが重要であると考えられます。例えば、光や温度、圧力、培地中の栄養組成などの細胞増殖への影響を調べるような基礎研究も重要となるでしょう。
②発電時のリスクについて
生物である細胞は、通常電池などに用いられる無機物と異なり、制御するのは難しいと考えられます。
電極に常に新しい細胞を接着させるには、対流を起こす必要があります。
おそらくですが、細胞が電極に電子を受け渡すには、培地によって細胞がすぐに酸化されないように、嫌気性条件での培養が必須となると考えられます。
逆に考えると、培地は極めて高い還元状態であることが想定されます。酸素などの流入による爆発などの危険性もなきにしもあらずなのではないでしょうか。
③バイオハザードのリスクについて
おそらく、スケールアップしたときの一番の問題がこれでしょう。
基本的には無害である細胞の利用を考えているため、自然災害等で細胞が外部に流出しても人体には影響はないかもしれません。特に嫌気性条件下でのみ増殖する微生物を利用すれば、外部流出時に酸素に触れることで死滅させるよう、リスクコントロールできるかもおもいます。
しかし、もし細胞に異常な変異が挿入されてしまっていた場合、リスクコントロールできず、また有害な成分を外部に放出する可能性も全くないとは言い切れません。
いずれの発電所でも同じですが、緊急時は甚大な被害が想定されます。よりリスクの低い発電が期待されます。
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