配偶者の因縁

 配偶者とは、夫は妻、妻は夫、即ち夫婦の縁の事を指します。夫婦仲が良ければ何も問題ははありません。

 しかし、幸福になろうと思っても出来ない悪因縁の相が男のやもめ、女の後家です。


 後家と言っても2通りあります。


 1つは若後家と言って、20代30代に夫と生別死別して1人で暮らさなければならない薄命の人、これは前生夫を不足に思い、夫を捨ててきた魂の因縁の生まれ変わりと言われています。

 次に再婚の因縁です。若後家であると子供が1人前に成人していない為に生活が苦しい。そこで再婚せねばならない様な運命になってきます。


 同じ再婚でも前方も1人自分も1人の場合は簡単にゆきますが、連れ子があるかそれとも可愛い子供と別れて行かなければならない。女性としてこれほど切なく罪なものはありません。


 また、嫁いだ先にも先妻の子があり、その上自分も子供が産まれる処から2腹3腹の子となって愛情が卍巴まんじどもえになり、複雑な心遣いをせねばなりません。

 他人の入った生活を水の入った生活と言い、これは気の遣う苦労の多い生活です。再婚に留まらず、3婚4婚をしていく人は尚以って因縁が深いのです。


 次に男難女難と言って、結婚前に契った人、約束した人がいるのにその人と一緒になれず、別の人と結婚すると言うのがあります。

 或いは結婚はしたものの、最初の恋は氷のごとく冷えて他に愛情が移り、三角四角の因縁事を起こす。そこに子が産まれると堕胎の罪を作ったり、庶子を産んでいく。

 産んだ親は平気でいても、産まれた子は父親の顔を知らなかったり、自分を産んでくれた両親を恨むような悲劇を起こす因縁。


 次に夫婦相剋ふうふそうこくの悪因縁。嫌いな者、憎み合っている者が一緒になって、毎日夫は妻を叱り、妻は夫を罵り、活劇を演じる部類。

 その活劇を演じている間はまだ愛情があるが、もう夫は妻に冷たく当たり、妻は夫に言葉を交わさない。いわゆる冷たい戦争をしている。もう別れようと毎日思いつめているが、子供の愛情に引かされて別れるに別れられない腐れ縁。


 こんな夫婦の間に産まれてくる子供に奇形児、馬鹿気狂い、精神薄弱児と言って、男なら職が点々と変わって長続きしない3日坊主、女なら男から男へと愛情を変えていく不貞女等が出て来ます。


 次に、親と意見合わずにする結婚です。


 人間の愛情には2通りあり、1つは親が子を思う愛情で、今一つは男女の愛情です。親の愛情に従えば異性の愛情に逆らわなければならないし、異性の愛情を求めるならば親の愛情に逆らわなければならない。

 この状態になる事を板挟みの因縁と言い、これもまた深い因縁です。


 板挟みにあって自分の意志を通していく処に出来た子が親の仇討ちの理として産まれて来て親不孝をするのです。


 後家になるのも再婚するのも夫婦喧嘩も、これ皆前生からの約束で、家に相続してきた悪因縁なのです。

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