第7話

 新太郎との仲は後退することがなかった。それどころか逢瀬を重ねる度に、お互いのフィーリングの良さを確認していった。

 今までの人とは違う、そんな予感があった。能天気な予感だが、きっと当たってる、そういう確信まで怜奈にはあったし、実際そうだった。その予感は正解だった。

 映画を観に行ったり、食事をしたり、ボーリングをしたりした。年が開ける頃には、友人公認の仲になっていた。

 怜奈が希望していた企業の内定が貰えたとき、一番に報告をしたのは父親の一平でも生物学上の母親である佐奈でもなく、恋人になっていた新太郎だった。だから一番に彼女におめでとうを言ったのも新太郎だった。

 もちろんセックスも頻繁にした。愛の証拠を残さないよう気を使いながらも、いつしかマンネリを嫌い刺激を求めて避妊具を使わないことも多くなった。新太郎は別にセックスが上手いわけではなかったが、気持ちが通じているという実感が嬉しかったし、それで充分だった。

 だがそんなちんけな妄想が原因で、彼女は妊娠をする。もちろん子供はいつか欲しいとは思っていた。しかしそれが今、このときだとは想像をしていなかった。 

 もっともっと先の未来の出来事だとばかり、怜奈は思っていた。望まない妊娠だった。

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