Epizodo 14
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街の中央に佇む城は、周囲の建造物より頭三つ分は背が高い。しかし派手な装飾は一切見られず、実用一直線の角張った建物。
「ここに、私達のパトロンが居る。さあ、中へ」
城を囲む銀の柵、その裂け目――門の守衛が折り目正しく敬礼を作る。トリスタンも軽く礼を返し、ボリスは完全に無視していた。
庭には噴水が置かれ、庭木は丁寧に切り揃えられている。見れば、今も庭師が脚立に乗って鋏を抱えていた。
城の中は、一見して質素な内装。しかし、充分な間隔を保って置かれた絵画や像が――己の高価を視界の端で訴える。
城主の蒐集癖が窺えた。
二階へ上がり、三階へ上がり――エスペロ達が案内された部屋は、四階の奥間。扉の前には屈強な兵が二人、完全武装で立っている。
「アンヌ様へ、巡回の報告だ」
「……」
衛士の一人がエスペロとミセスに視線を留めたまま、無言で頷く。
もう一方の衛士が扉を開け、トリスタンに続いて中へ入った。
広い室内。壁面には絵画が並び、中央には十人ほど向かい合って坐れる長椅子。窓を背に執務机――その椅子には、女が坐る。
「帰ったわね」
白地の板を台に載せ、筆を動かしていた女が手の絵道具を置き――トリスタン達に向き直る。
金髪碧眼の美貌。勝気に持ち上がった目尻。肩口で短く切り揃えられた髪が、真の支配者として雄々しい風格を醸し出す。
「ご苦労さま」
しかし、威厳を語る口は舌足らず――。
「……ハ」
トリスタンとボリスが、眼前の女〝の子〟に恭しく傅いた。
「……この人が」
しかし、エスペロは侮る事なく女の子を隅から隅まで観察する。
「それじゃあ、報告を聞かせてもらえる? 特に、その二人の事もね」
「はい」
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