Epizodo 12
▽
案内された馬車は、鉄の馬が牽いていた。
「……これは、動物?」
車の窓から、エスペロの物珍し気な視線が鼠色の馬を撫でる。
「何言ってんだコイツ」とボリスが眉根を寄せる横で、トリスタンが「あー……」と薄い溜息を吐いた。
「嘘を吐くなら、もう少し下準備を重ねた方がいい……」
「……え?」
元より無言のミセス。その隣で、エスペロは首を傾げる。
「……いや、まぁ……うん。別に、身分を偽ろうと構わない。けど、偽るなら偽る為に嘘を重ねないと意味がないと思わないか?」
「……うん? まぁ、そう思うけど。――で、この馬は何だ? 赤い馬は見た事あるけど、くすんだ色の馬は初めて見た」
「……ボリス」
「あん? 何だよ」
「良かったな。気が合うと思うぞ」
「……は?」
オルレ=アルク帝国まで、約一時間の道程――その間、トリスタンはエスペロに質問攻めされた。
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