第10話

「美紀さん。お待ちしておりました」

 目を醒ますとあたしの目の前には、ポポコさんがいた。

「あ、どうも。ポポコさん」

 同じ地球人じゃない。人間そっくりの火星人だ、そう思っているからポポコさんやニョルニョルとは普通に会話が出来た。

 気がつくとあたしは王宮の食堂にいた。目の前には豪華な食事が並んでいる。どうやらポポコさんは夕食の準備をしているらしい。

「今日は先日お話しておりました面接なんですよ。もちろん、お妃候補のお二人には秘密です。マッサ様とロッサ様には単なる晩餐会とお伝えしております」

「なるほど。それは良いですね」

「少し騙すような感じは良い気が致しませんが、これも火星のためです」

 ポポコさんは料理が盛り付けらた皿をワゴンから取ると、それをテーブルに並べていく。

「手伝いましょうか?」

「いえいえ。美紀さんは大事なゲストのお一人ですから」

「大丈夫ですよ。家でも家事はやってますから」

「お気遣いだけ頂いておきます」

「そうですか」

 そうやって優しく押し切られてしまうと、なんだかこれ以上手伝う手伝う主張するのが、厚かましく思えてくるから不思議だった。あたしは大人しく椅子に座って、晩餐会が始まるのを待つことにする。

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