第8話

 普段から学校での気配を殺しているからか、誰もあたしなんて存在していないかのように振舞い、あたしもそれでいいと納得している。屋上へ行くのは禁止事項だし、誰か他の生徒に目撃されると厄介だけど、そんな存在感のないあたしだから、毎日行ってるのに誰にも見つかったことはない。

 いつものように明かりの消えている階段を上がり、机を重ねて作られたバリケードを潜って、屋上に通じる踊り場に出る。

「ふぅ」

 ここまで来れば一安心だった。リラックスして、心の羽根を広げることが出来る。

 あたしは扉に手を掛けて、屋上へ出て行った。

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