8/20 手抜きステーキ

疲れた。

物凄く疲れた。

もう一歩も動きたくない。

このまま冷たい床の上で寝たい。

そうすればきっと気持ち良い。

明日までこのまま寝かせてくれ……






と、いかんいかん。

暑さと疲れで思考能力が低下している。

一歩も動きたくない程疲れているが、汗も流していないし体も解していないのにこのまま寝てしまうのはまずい。

体の疲れが翌日に残ってしまうし、なにより栄養の補給もしなくては体調が回復しない。

少し横になった事で多少は体力が回復したので、風呂と食事の準備をしなくてはな。


なので、こんな疲れている時の食事は作るのが楽なステーキにする。

蛋白質の補充も出来て一石二鳥だ。


ステーキは極論を言えば肉を焼いただけの料理であり、どれだけ手をかけても、逆に手を抜いてもステーキという料理の本質は変わらない。

だからこそ奥が深いのだが、火加減さえ間違えなければ誰にでも作れるのは良い。

本当に肉を焼いただけだしな。

まあ、その焼くだけを失敗する奴も居るのだが、今は関係無いので置いておこう。


ステーキと言えば牛肉のステーキが一番良いのだが、今はもう買い物に行く体力が無いので、冷蔵庫にあったトンカツ用の厚切りの豚肉を使う。


まずは豚の脂身の部分を薄く削ぎ、フライパンに乗せて弱火で加熱する。

本来なら牛脂を使用するのだが、手元に無いので脂身で代用だ。

脂身から脂が出てきたらフライパンに満遍なく塗り、脂身は捨てる。

そして、火を中火にしながら豚肉を乗せる。

きちんとしたステーキの作り方は肉を常温まで温めるのだが、今日は面倒臭いのでそのままだ。

豚肉の反面が焼けて色が変わってきたら粗挽きの胡椒と塩を振り、肉をひっくり返す。

胡椒は挽きたてを加熱するのが一番良い香味を出すので、臭み消しの目的で振るので無ければ焼く直前が良い。

ならばフライパンに載せる前に振るのが良さそうに思えるが、焼く前に塩を振ると肉汁が外に出やすくなってしまうのでそれは良くない。

塩と胡椒を別々に振れば解決するのだが、今日は面倒臭いのでこの手順で行う。

そしてもう半身も焼けたと思ったら再度粗挽きの胡椒と塩を振り、肉をひっくり返して強火で数秒焼く。

これで完成だ。

中まで火が通っているのかの確認のために真ん中で二つに切り、赤い部分が無ければ問題ない。


ああ、疲れた体に肉の脂と塩分が染み渡る……

ソースをかけたり生姜焼きにしたりしても良いが、やはり肉は塩胡椒で食べるのが一番だと思わせてくれる。


よし、これで栄養は補給した。

後は風呂に入って寝るだけだ。

今日はぐっすり寝れそうだな。

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