6/17 かに(風味かまぼこ)雑炊
かに風味かまぼこは本当に蟹を使っているのではないかと錯覚する事がある。
実際はかまぼこと同じ原料のタラのすり身を使用しているのだが、冷凍と解凍を繰り返すことで蟹の身と同じような繊維を作り出し、それを着色と蟹の出汁を含ませる事で蟹に近づけているという。
食感と風味が蟹と同じならば、それはもう蟹と言っても過言ではないだろう。
余りにも蟹にそっくりなので、急に蟹が食べたくなったが市場に蟹が出回っていない時に重宝する。
ほぐし身の蟹の缶詰はやや水っぽい感じがするので、本物の蟹が手に入らないのならこちらのほうが良いのだ。
模造だからといって、本物に劣るという理由にはならない。
模造には模造の使い道と長所がある。
この世に産み出された物には必ず必要とされる場所があり、それを見つけてやるのが上の立つ者の務めだ。
そして、私が見出したかに風味かまぼこの使い道は汁物に使う事だ。
元々蟹の出汁が含まれているので汁自体に蟹で出汁を取ったような風味が付く上に、蟹の身に汁物の味が付くので、食感がそっくりなかに風味かまぼこなら殆ど本物と同じ感覚に陥る。
かに風味かまぼこと卵の中華風スープや、かに風味かまぼこの茶碗蒸しなんかもいける。
しかし、今日は胃の調子がまだよろしくない事もあわせて雑炊にする。
本来なら蟹すきをした後の出汁で雑炊をするのだが、かまぼこで蟹すきをするのは流石に惨めに思えるので止めた。私にも出来る事と出来ない事がある。
土鍋に適量の水と昆布とほぐしたかに風味かまぼこを入れ、火にかける。
沸騰寸前で昆布とかに風味かまぼこを取り出し、沸騰したら鰹節を入れて火を止める。蟹の出汁を味わいたいので、鰹節はやや少な目が良い。
そして2~3分ほど待ち、全ての鰹節が底に溜まったら笊で濾す。
こうして取れた出汁をもう一度土鍋に戻し、酒、味醂、白醤油で味をつけ、先ほど取り出したかに風味かまぼこと、炊いてから一度冷ましたご飯を入れる。人によってはご飯を洗ってから入れるが、私はどろどろの雑炊が好きなのでそのままだ。
そしてここで重要なのが油だ。
これは祖父から教わった手法なのだが、雑炊を煮込む時に大匙一杯のサラダ油を入れるとご飯のどろどろさが増し、味に深みも出る。
詳しい理由は分からないが、おそらくは米が油を吸うからなのだろう。
ここから弱火でくつくつと煮込み、自分が良いと思うどろどろさになったら溶き卵を入れ、掻き混ぜずに蓋をして蒸す。
これで溶き卵が固まったら完成だ。溶き卵を入れてから掻き混ぜて全体と混ぜても良い。
美味い。
出汁を取るときにかに風味かまぼこを使ったお陰で、本物の蟹雑炊とそっくりだ。
これならいくらでも食べられるな。三合分作って良かった。
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