6/10 冷や汁

この国の北関東には冷や汁という料理がある。


読んで字の如く、冷たい汁だ。


一口に冷たい汁と言っても色々な汁物があるのだが、この国で古来から飲まれている汁物と言えば、そう、味噌汁である。

よって、この冷や汁というのは冷たい味噌汁の事であるのだが、ただの味噌汁を冷やした汁物ではない。

だが、味噌汁の作り方から極端に離れているわけでもない。


なんとも説明しにくい汁物なのだが、分かりやすく対比して書き出そうと思う。


味噌汁の場合

『干した魚介類(鰹節やいりこ等)』を{湯}に入れて《熱し》て出汁を取る。

そこに【味噌】を解いて入れる。

具を入れて煮込む。


冷や汁の場合

『干した魚介類(鯵やいりこ等)』と【味噌】と胡麻をすり鉢で擂る。

それを《直火で炙って熱する》。

{冷たい水(出し汁の場合も)}で伸ばす。

具を入れて混ぜる。


という感じだ。

作業工程が前後する部分と、お湯を使うか炙ってから水を使うかという部分が違うだけで、実質的に冷や汁も味噌汁なのである。

具に関しては温かいほうがおいしい物と冷たいほうがおいしい物とあるので違うのだが、どちらも豆腐を使う事がある。


しかし、味噌汁と冷や汁で決定的に違う部分がある。

冷や汁は単体で飲む物ではなく、ご飯にぶっかけて食べる物なのだ。

卵かけご飯ご飯と同じく、その物単体では食べられることの無い料理なのだ。


ちなみに、味噌汁をご飯にぶっかけるのはこの冷や汁の存在があるからと言われている。

実家では行儀が悪いという事で禁止されていたが、冷や汁はセーフなのでやや不満だ。


なので、味噌を水で溶いてご飯にかけて食べるのもおかしい事では無い。

これは冷や汁と味噌汁の中間であって、歴史的にも正しい食べ方だ。決して私が貧乏なわけではない。

分かったな?分かったのならその目を止めたまえ。


今日は暑いからこれでいいのだ。

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