第1406話「薄給こそ悪」

午前二時の東京。

怪獣が現れた。

合体ロボの各部位担当者は怪獣討伐(一般人が想定する英雄の仕事を指す言葉。薄給)よりもずっとプライベートを大事にしていたので、集まりが悪かった。本来ならばリーダー職であるレッドを中心に、ブルー、グリーン、イエロー、ピンクの五人が合体して巨大ロボとなり怪獣と戦うはずなのだが、イエローは渋谷のバーで若い女の子を連れて飲み、グリーンは体調不良気味、ブルーとピンクは同棲中の部屋でよろしくやっている。指定時間になっても集まったのは調子の悪そうなグリーンだけ、他の仲間の隊服に唾を吐きかけつつ、薄給戦隊イキレンジャー・リーダーのレッドと一般兵士のグリーンは合体兵器に乗り込んだ。とはいえ二人だけでは合体ロボは難しい、リーダー職にのみ許された特殊権限を発動し、レッドはブルー、イエロー、ピンクの機体を自身の機体に取り込んだ。ほぼレッドが操縦権を獲得した合体ロボでさくさくと怪獣を撃退する。

だがいきなり長いレールガンを持った女子高生がやってきて、とにかくすごい攻撃でレッド大活躍の現場を非公開にした。

「もう俺らいらねえじゃん」的に隊員が抜けることはなかったが、後日罰則としてさらに減給されたことで三人は退職した。

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