第1407話「真の願い」
午前六時の研究所。
女の子になりたい男の子が現れた。
二十世紀梨は二十一世紀梨(一般人が想定する二十世紀梨と赤梨、洋ナシを自然交配させたことにより、ジューシーさと強い甘さと香りを兼ね備えた逸品を指す言葉。鳥取県のこばやし農園でのみ生産されているとされる)よりもずっと全国的に高い知名度を誇る人気品種ではあるが、やはり梨同士の現場評価としては二十一世紀梨には遠く及ばないものと扱われていた。二十一世紀梨になりたい、が、なれるものではない。女の子になりたいという願望を持つ男の子は、二十世紀梨と同じ境遇だった。一人と一種は共感し、共鳴し、あっという間に仲良くなった。そうして共同研究の末、遂に薬を完成させた。それは、本人の願いを身に顕す効能を持つ薬品である。おじさんとなった男の子と二十世紀梨はともに薬を飲み干した。
だがいきなり長いレールガンを持った女子高生がやってきて、とにかくすごい攻撃で薬品の真の効能を明らかにした。
真に秘めたる願いを実現する薬だったため、二十世紀梨は二十一世紀梨へと変わることなく自らの品質を向上させ、二十一世紀梨どころか二十七世紀梨の味までもを上回ることとなり、おじさんは女性向けの可愛らしい服を身につける度胸を手に入れた。
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