第1348話「そのチョコは何で出来ている?(06)」

午後一時の学校。

草に覆われた教室が現れた。

アンチマテリアルライフル女子高生は行動(一般人が想定する特定の目的をもって意志的に身体を動かす振る舞いを指す言葉。客観的に測定できる刺激に対する聖体の筋肉反応や内分泌腺反応を指す場合もある)するよりもずっと状況把握を優先した。草に覆われた教室に飛び込んだところで、遠距離狙撃を基本戦術とする自分ができることは少ないだろうと理解していたからだ。草に覆われているのは一階から三階まで生徒たちが授業を受ける教室、一つの漏れもなく全室。当然愛しのガトリングガン女子高生や、よく一緒にいるなりきり女子高生が在籍するクラスも含まれている。草で覆いつくされた窓からは中の様子は確認できなかった。今は脱出できているものと信じるしかない。なんだあの草は、と巨大な葉の模様から特徴を掴もうとして、ふと気づいた。サイズ感がおかしい。大きすぎる、が、あの軽く丸みを帯びた葉と生え方には覚えがある。爽快味と冷涼感を与える繫殖力の高い多年草。

だがあまりに巨大かついきなりすぎる繁殖に理由が付けられず、とにかく突拍子の無い展開にアンチマテリアルライフル女子高生の頭は導き出された結論を受け入れられなかった。

――あれは、ミントでは?

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