第1241話「小学生の心」

午後零時の公園。

女子小学生二人組が現れた。

さくらちゃんとゆきのちゃん、学校を抜け出した二人の小学生は先生の言うこと(一般人が想定する一般論を指す言葉。正しいが、正しさだけで生きていけるほど小学生の人生は甘くない)よりもずっと自らの経験した思いを重要視していた。レールガン女子高生が直接干渉した証、生命としての根幹にこびり付く揺らぎ、自意識のブレ。ただ漫然と生きるうちには違和感さえも感じないそれをはかせから指摘されたことで、女子小学生たちはかつて起きた事件をおぼろげながらに思い出していた。己が悪の組織によって自立女子小学生型兵器として改造されたこと、その後に超存在たる何者かが兵器であった女子小学生らの過去を修正し、結果として安穏な日々を送れていること。誰のおかげかは思い出せないが、その誰かは、自分を犠牲にしてまで二人の日常を取り戻したのだ。プリキュアみたいな力が欲しいかと訊かれたので騙された振りをして魔法のランドセルを入手したが、小学生たちの感情の実態は異なる。恩を返したい。あの時自分たちを救ってくれた誰かに報い、取り戻した平穏と街を守りたい。

そこにいきなりグレネードランチャーを持った女子小学生がやってきて、とにかくすごい声量で学校を抜け出すのはいけないことだと主張し二人に向けてグレネードを撃ち出した。

小学生らしいしなかやなターンによって爆風を回避し、三人は挨拶代わりのハイタッチを交わした。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る