第1238話「葬られた記録」

午前七時の懐。

エナジードリンクが現れた。

日出処の天子は日没処の天子(一般人が想定する隋の皇帝を指す言葉。対等の立場であることをアピールする為に敢えてこういった表現を取ったとされる)よりもずっと不健康な生活を送っていたが、日本独特ともいえるその異常性な肉体酷使度合に気付いていなかった。貢納として持参したものが当時日本で大流行していた栄養剤、つまるところのエナジードリンクであり、しかしながらこの飲料は肉体酷使に慣れ親しんだ日本国民外の人間が飲み干すと栄養過剰で肉体が爆散する、事実上の毒であった。懐から取り出され渡されたエナジードリンクを何の警戒もせず口にした皇帝は数秒のち爆発、都を意図せず混乱に陥れた面々は命からがら日本へ逃げ帰った。和の国と大陸の不和はこうした歴史からひも解くことが可能である。

だがいきなり長いレールガンを持った女子高生がやってきて、とにかくすごい攻撃で歴史を改変した。

エナジードリンクで死亡した皇帝はいなくなった。

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