第1226話「禁忌」
午後零時の本棚。
物体変換器を構える書庫の主が現れた。
電子書籍は物理本(一般人が想定する紙で印刷された物理媒体での書籍を指す言葉。タブレット端末を利用した電子データ書籍が一般化した現在においては一部の好事家が多額の金を掛けて手元においている高級品)よりもずっと場所を取らず、貴重な資材を奪わず、素晴らしいものだと持て囃されていたのだが、書庫を取り仕切る管理者は決してそう思えなかった。本を手に取り、頁をめくり、印刷された文字を目で追う。あるいは、劣化する紙の匂いを全身で感じる。五感で味わう読書こそが真なる体験だろうと信じ、管理を続けてきた。とはいえ年々減りつつある物理本の数に耐えられなくなってきていたその時、悪の組織を自称する男たちから物体変換器を授けられたのである。物体変換器を活用することでデータが物理本に変換されるという。管理者はその行動が罪だと理解しながら、物理本を得る欲求に抗えなかった。
だがいきなり長いレールガンを持った女子高生がやってきて、とにかくすごい攻撃で取扱説明書を廃棄した。
変換器の使い方が永久に失われた。
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