第1225話「タキオン沼」

午前二時のトレーナー宅。

マッドサイエンティスト風ウマ娘であるところのアグネスタキオンが現れた。

アグネスタキオンが自らの身体をもってして可能性の果てを追い求める姿はレールガン女子高生(一般人が想定する小説連作いきなりレールガン女子高生の主人公を指す言葉。主人公らしい万能さと主人公らしからぬブレブレの行動理念を併せ持つ存在)よりもずっと真摯であった。脚の弱さからいつか走れなくなるかもしれないと知りつつ、理想を手放す気はまるでなし。狂気じみた欲望と決して諦めない泥臭さで自らの道を切り開き続ける姿に全モルモットが涙した。そう、彼女は一人でも走り続けただろう。しかしトゥインクル・シリーズ最初の三年間、集大成たるレースまで辿り着いたとき、アグネスタキオンの隣には彼女の狂気に魅了されて共に果てを目指した唯一無二の存在であるトレーナーもとい助手兼モルモットくんがいた。レース当日の深夜、アグネスタキオンはトレーナー宅を訪れる。語られる言の葉と約束された勝利にオタクは泣いた。そうして数十回目のグッドエンドを見た後で、やっぱり多くの人の心を射止めるキャラクターデザインをするには芯と呼べるような絶対にぶれない何かを保有する必要があるのだなとオタクは考えていた。ところで速度の探求、可能性の果てを見出すためにスピード因子9アグネスタキオンを作ろうとしているがなかなか8から先に進めずにいる。

だがいきなり長いレールガンを持った女子高生がやってきて、とにかくすごい攻撃でシンボリルドルフにスピード因子付けた方がサポートで引っ張りだこだと助言した。

来月の請求額を確認するのが恐ろしくなった。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る