第1211話「やけになっても」

午後九時のテレビ。

欽ちゃんと香取慎吾が現れた。

地区予選を通過した参加者は突風(一般人が想定する前触れなく吹き付ける強烈な風を指す言葉。ときには熊やカモシカでさえも吹き飛ばす)よりもずっと油断していた己が憎かった。せっかく作り上げた仮装のための道具は輸送中にボロボロ、これでは到底本戦に参加することもできない。酒を飲んで局内をふらついていると大量の衣装を発見する。適当な女装でもして番組を台無しにしてやろうかとやけになり、百面ダイスを振って出た番号の服を手に取った。そこに通りがかったメイク担当が参加者の女装の才を見抜き、とにかくすごい化粧を施した。番組が求める仮装ではなかったものの、あまりに完成度が高かったので点数を稼いでいく。満点近くになり、得点が止まる。評価する芸能人の一人が、実は女装ではなく女性なのではないかと疑い始めたのだ。

だがいきなり長いレールガンを持った女子高生がやってきて、とにかくすごい攻撃で参加者を全裸にした。

参加者は二十点満点を獲得した。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る