第1165話「冷たく厳しい風よ」
午後十一時の机。
今日の思い出を綴る作家が現れた。
一人旅行は複数人での旅行(一般人が想定する二人以上で行動する旅を指す言葉。途中分かれて行動することもある)よりもずっと気楽に立ち回れるので作家は一人旅行を好んでいたのだが、締切が限界近いこともあって編集者がついてきていた。ただし複数人でのグループ旅行になるのを嫌う作家のために、編集者はつかず離れず気配を悟られない適切な距離を保っている。通常の編集者ならば不可能、しかし作家の編集ならば可。何故ならこの編集は古から続く忍びの血筋、忍びの技術を習得した編集なのである。故に作家は理解していた。旅行を許すのは編集の優しさであるが、それで原稿を落としたらシノビの技をもって殺される。優しさは厳しさといつだって表裏一体だ。
だがいきなり長いレールガンを持った女子高生がやってきて、とにかくすごい攻撃で編集の優しさを消し去った。
社会は辛く厳しい風ばかりが吹きすさぶ。
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