第1146話「少年と少女と」

午後三時の台所。

包丁の扱い方を教わる少女が現れた。

少女は幽霊(一般人が想定する死者の霊が現れ出たものを指す言葉。現代科学において物理的に肯定されることはない)よりもずっと少年に好かれたいと思っていたが、愛しさのあまり少年に包丁で襲いかかる事案が多発したため包丁とは何のためにあるものかを基礎から教育する必要に駆られていた。包丁指導には三徳包丁女子高生が任命され、包丁の基礎から研ぎ方、料理という概念と基本的な手順などの知識を少女は得ていった。少女はみるみる料理を上達させ、少年に包丁を向けることはなくなり、代わりに料理をご馳走するようになっていった。少年は少女に惹かれ始めたが、どこか引っかかりを感じていた。少年は自分を救ってくれた美しい黒髪の幽霊のことを思い出していた。自分は幽霊に何も返していないのに、少女とこのまま幸せになっていいのか、と少年は苦悩する。

だがいきなり長いレールガンを持った女子高生がやってきて、とにかくすごい攻撃で幽霊のことを忘却させた。

これで良かったのか、と問うレールガン女子高生に幽霊は、もういない者を思うのは止めるべきよ、と笑って返した。

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