第1145話「恐怖を超えて少年は」

午前一時の墓場。

少年が現れた。

少年は少女(少年が想定するクラスメイトの女子生徒を指す言葉。先日告白してきた隣の席の女の子で、綺麗な黒髪をしている)よりもずっと幽霊のことが気になっており、というか幽霊に心惹かれており、クラスメイトの告白も心ここにあらずといった具合で適当に聞き流して断ってしまった。再び幽霊に会うため深夜に墓場を徘徊していたが、幽霊は怖がりなので深夜の墓場には出没しないということを少年は知らない。出会える可能性さえない捜索を続ける少年、がさと音が聞こえて咄嗟に向けた懐中電灯の先にいたのは、幽霊ではなく振ったはずの少女だった。どうしてここにいるのか、と尋ねると、少女は貴方を探していたのと告げて隠し持っていた包丁を少年に向ける。いやしないものに心囚われている貴方を助けてあげなきゃいけないの、と叫んで駆けてくる。

だがいきなり長い黒髪の幽霊がやってきて、とにかくすごい超常現象で少女を怖がらせて退散させた。

少年は幽霊に感謝し、幽霊よりも恐ろしいものを学び、そうして少し大人になった。

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