第1031話「吹き抜けはいいぞ」
午前十一時の天井。
イソギンチャクが現れた。
天井は床(一般人が想定する建造物の下面を指す言葉。わずかな傾斜でも居住性を損ねる場合があるためたわみが発生しにくい念入りな施工が必要となる)よりもずっと意識から外れている空間なので、人間は天井でイソギンチャクが大量発生していることなど露知らず日々生活を送る。イソギンチャクは天井に擬態しながら繫殖を続け、天井を埋め尽くしたその瞬間、一斉に振動を始める。地震が如き振動に家はたまらず崩壊、藻屑となった住宅を残らず喰らったのち、イソギンチャクは次の家を求めてたんぽぽの綿毛のように空へと舞い上がって散っていくのだ。
だがいきなり長いレールガンを持った女子高生がやってきて、とにかくすごい攻撃で天井を焼却した。
吹き抜けが生まれ、空間全体に繋がりを持たせたことで通風性が良くなり、取り込む光も家族団欒の時間も増えて家はとても明るくなった。
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