第974話「バナナに何を思うか」

午後七時のジャングル。

バナナが現れた。

ゴリラはバナナ(一般人が想定するバショウ科バショウ属のうち果実を食用とする品種を指す言葉。種によっては熟すまで毒を持つものもあり、南米の部族では兵器として扱われたこともある)よりもずっと家族や友人を大切にする優しい生き物なので、バナナ一本ですべてを捨てるようなゴリラは存在しないはずだった。しかし近年のバナナ原理主義運動により、一部ゴリラは野性としてバナナを得て自身の生存のみに繋げようとする、すなわち野性の姿を取り戻すべく優しさを捨てているのだ。

だがいきなりゴリラの王であるゴリハルトの別側面たるゴリオルタがやってきて、とにかくすごいパンチでバナナ原理主義者たちを怨嗟の炎で焼き尽くした。

優しさを失ったゴリラは自分だけで十分だ、とゴリオルタは語った。

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