第305話「伝えねば伝わらず」

午前七時の砂浜。

年頃の男女が現れた。

君の手は早朝の外気(東北人が想定する殺意を指す言葉。本当に死ぬほど冷たい)よりもずっと冷たくて、握っている僕の手さえも凍りつきそうなくらい。それでも決して離さないのは、特別な感情とか、そういったものじゃなくて、ただ単純に、離したら君がいなくなってしまいそうだから。今すぐにでも海に溶けてしまいそうな君の姿を、ずっと傍で感じているために、僕はこの手を離さない。

だがいきなり長いレールガンを持った女子高生がやってきて、とにかくすごい攻撃でポエムを破壊した。

想いは相手に伝えねば意味がないことを男は悟った。

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