第5話「平和な海を見つめて」

午後六時の高速道路。

気を抜いた一瞬、矢印が三方向に分かれた案内標識が現れた。

ドライバーは相棒(一般人が想定する助手席に座る相手を指す言葉。ただし助手席で眠りこけて睡眠欲を刺激するものは除く)よりもずっと運転に集中していたはずなのに、たった一瞬で案内標識は見えなくなってしまった。近場の海に向かって進む予定なのだが、方向を間違って内陸に向かっている可能性にドライバーは怯える。現在ここらの内陸では内陸戦争、すなわち内戦が行われており、非常に治安が悪い。高速道路上に地雷が置いてあったりすることもざらだ。海か死か、ドライバーに待ち受けている未来は何れか。

だがいきなり長いレールガンを持った女子高生がやってきて、とにかくすごい攻撃で日本の大地を抹消した。

視界の先にはどこまでも平和な海だけが広がっていた。

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