【27】ずっと美しい
一人目は、妃の
しかし、
いつも以上にきちんと化粧をして来たはずだった。
ドレスも髪型も、だ。
それなのに、
「顔を洗ってくるように」
と言った。
素朴で、弱い自分を晒しているように感じる。
化粧がなくなっても、まだ服がある。高く目立つ襟は、いつしか彼女にとって化粧と同じく、鎧のひとつ。きっちりと結い上げている髪型も同じ。
そう感じながらも素顔で鏡に向かうだけで、奮い立った気持ちがとけていく。
「お待たせいたしました」
ちいさな声で言い、
「いや、ずっと待たせていたのは、私の方だ」
王の間の入口付近で立ち止る
『女王』を誇張するような、
「
「
「君は、君が思っているよりもずっと美しい。出会ったころのような、あのころのままで……よかったのに」
目を逸らし続けて一番の被害を受けたのは、唯一愛し続けてきた
逃げ続けた結果の代償は何よりも辛く、悲しいことだった。
「私の役目を、そろそろ終わりにしてほしい」
ずっと胸の内にしまっていた言葉。
この言葉を
「いつか……言われる日が来るとは思っていました」
「離縁をしたいと言っているのではない。ただ、私が
「どうして、ですか?」
「
実家から『二度と戻って来ては駄目だ』と『
だが、
放心状態のような
「最後の最後まで、私は君に
愛しい人の腕に包まれ、
頭上に高々と掲げる王冠に括りつけている
びくついた
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