【26】願いのような一言
真っ黒なマントを翻していく
生来の華やかさを消してしまいたいと願っているように思えるほど、
──他人には気づかない変化を感じ取った……って考えると、やっぱり
バルコニーに取り残された
「はぁ、
「
と笑いかけ、座って話そうと言って落ち着かせる。
「大人しいっていうか」
「もっと表情も豊かだった印象が……強かったんだけど……」
これまで
初めて会ったのが七年前。初対面にも関わらず、
「
すると、
「双子だったと母上から聞いたことが、一番古い記憶で……」
それは、二歳くらいだったと
もうひとりの自分が生活をしているのは、少し離れた棟だったこと。
「
いつか会いたいと、当時もこう呟いていたのか。
三歳の誕生日の翌日、女官が普段よりも少なくなると気がづいたと、
棟へと駆け出していた。もうひとりの自分に会いたい一心で。
城と離れた棟の間には、一面にシロツメクサが広がっていた。緑と白に囲まれて座る、黒い長髪の姿に目を取られ、
視線が合った。
でも、鏡を見るかのようで、言葉がうまく出なかった。
気づけば、
「でもね……」
楽しい時間はあっという間に過ぎ、
『もう行かないと』と、言うと『うん』とだけ聞こえた。
「また、必ず……すぐにでも来るから!」
必死な
それから
「嘘を言ったつもりはなかった。でも、ずっと行けなくて……また
それでも会える度に
『双子』として接してもらうのは無理だとしても、せめて『兄弟』として仲良くいたいと、いつしか願うようになっていたと続ける。
影を増していく
「
築いてきた絆を振り返り、脆さを思い知っているのか。悲しみの雫は、言葉をともにこぼれ落ちる。
「『兄貴』とは、呼んでくれなくなった」
再び、
「
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