新人歓迎会
改めて私の名前は田代翔太。普通のどこにでもいるサラリーマンだ。ただほかのリーマンと違う所は「愛妻家」なところだ。
リーマンが「援助交際」で高校生とみだらな行為をしたとして捕まるニュースを見ると内心「ふっまだまだだな。女子高生なんて。おれにとって奥さんこそ女神なのだ」とほくそ笑む私がいる。
奥さんの名前を紹介するのを忘れていた。奥さんの名前は田代桜子。名前の通り桜のような美しい女性だ。身長は147センチ。僕は183センチだからだいぶちいさい。そこがかわいい。顔は「新垣結衣さん」に似ている。否、新垣結衣さんよりも可愛い、と僕は思うのだが本人にいうと似てないよ~~と言いながら「逃げ恥ダンス」を踊ってくれる。か、かわいい。なおバストウエストヒップは僕だけが知る秘密情報だからここでは書かない。第三者が知ってしまうと「消さなくてはいけない」という使命感が僕にはある。
僕が務めているのはとある部品工場で僕はエンジニアとして働いている。毎日パソコンとにらめっこだ。机の上には当然奥さんの写真が置いてあるし折り畳み財布を開くとすぐに奥さんの写真が見える。スマホの待ち受けも桜子さんだ。
桜子さんの姿に僕は何度救われただろうか。
今日も桜子さんの写真を見ながら仕事をしているとぶちょーが私を呼んだ。
「田代君?田代君」何の用なのだろうか?一瞬でも長く奥さんを見ていたいのに。。しかし無視するわけにもいかないので「はい」っといってぶちょーの前に立った。
「部長なにか?」
「田代君今夜店の方は予約とってある?」
「あぁ。新入社員さんの歓迎会ですね」
「うん。いい店とれた?」
「ええ、どうせ部長がお金を払ってくれると思いましたのでいい店の予約が取れました」
「田代君さ、君いちいち毒があるね。知ってるよ、僕の携帯の番号ひらがなで「ぶちょー」で入力してるんだって、同期の山形君から聞いたよ。僕結構偉いのよ」
「知ってますよ。でもそれってパワハラですよね」
「まあ、そうなんだけどね。。。。」
しばしの沈黙
「ところでお店はどんな店?」
「はい。海鮮料理のお店ですよ」
「ほう、君僕が静岡出身って知ってて選んでくれたんだ。感心感心」
「部長が好きな日本酒が全国から400種類以上集めていて、部長の故郷の地酒も取り揃えてありますよ。」
「いいね。上司の好みを覚えてるなんてやっぱ君出世するね」
「いや、出世とか興味ないんで。。。。」
しばし沈黙
「でもまあ、今夜が楽しみだよ。」
「ええ、でも私は9時になったら帰りますけど」
「えぇ??君幹事でしょ?」
「でもぶっちゃけ幹事でお金貰えるわけでもありませんしね。」
「ぶっちゃけちゃったね。うん。確かにお金にはならない。。」
「それでは失礼します」
「ほんとに失礼だね田代君。。。。っていない」
こんな風にぶちょーとはいい関係だ。
ちなみに同期の山形は営業に配属されている。本音を言えば今回の店も山形に紹介してもらった。この前諭吉さんを誘拐したことに罪悪感を感じたらしい。
週末電話がかかってきて「聞いたぜ、週末に新人歓迎会やるらしいな。お前のところの八木部長この前話したら静岡出身でさ、俺が開拓した海鮮料理屋でいいところがあるんだよ。ちょうど部長の故郷の地酒もあるらしいぜ。たまには上司のご機嫌取っておけよ」と言って教えてくれた。
エンジニアとはパソコンに向かっていることが多いから僕のような「コミュ障」でもできるが営業とはいろいろ大変らしい。
仕事をして愛妻弁当を食べ仕事をしていると5時になる。
「さあ、行きましょうか?」とみんなを店に連れていく。
地図はメールに添付してもらったからすぐに分かった。歩いて10分くらいで到着した。
店の名前は「弁多津(べんたつ)」古風な作りになっている。
暖簾をくぐると「いらっしゃいませ」と若い男性の声が響いた。
「予約しておいた田代ですが。。」と店の人にいうと「はい、田代様6名様のご予約ですね」といって女将風の女性が店の一番奥の席に案内してくれた。
掘りごたつになっていて今は暑いので布団はかけていないが冬になれば掘りごたつとして使われるらしい。
スカートできている女性も座りやすい。
「へー田代さんいいお店知ってますね。」と新人の岩倉ちさとが話しかけた。
「僕も初めて来たんだけどね。今度奥さんと一緒にこようかな」
「え!!」ちさとは目をぱちくりした。
岩倉と高橋竜馬二人が新人として採用された。
それとぶちょーと田代、3年目の高木愛と2年目の小川竜彦の6人だ。
小川と高橋は竜という字がかぶるので「ダブルドラゴン」と呼ばれている。(というか呼んでいるのはぶちょーだけだが)
まあ、一月ぐらい働いているのでお互いの顔と名前くらいは知っている。
一通り自己紹介を行いその合間をみて料理とお酒が運ばれてくる。
「とりあえず、今夜は無礼講で。。」とぶちょーが言ったところ「いや。いけません。」とぶちょーに僕は申し上げた。
「上司を立てることを新人並びに我々もわすれてはいけません。」
「た、田代君。。。やっぱり君はわかってるねぇ」ぶちょーはハンカチを出した
「とりあえず今夜はぶちょーのおごりなんですし、おいしいお酒を頂くときには「あざーす」くらい言わないとばちが当たります。
さあみんな、ぶちょーに「あざーす」といいましょう。さんはい」
「あざーす」と五人の声が響いた。
「田代君ほんとにわかってないねぇ・・」といって涙を拭いた。
これでぶちょーのおごり確定になった。
まあ、たわいもない話でもりあがっているうちに9時になった。
「じゃあ、ぶちょーお先に失礼します」と僕は頭を下げてカバンを持った。
「ちょっとどこ行くの田代君??」
「家に帰ります」
「え??家」
「ええ、奥さんが待っているので」といって店を出た。
それでも店の雰囲気がいいのかみんななじんでいる。
新人の岩倉が高木を捕まえた
「先輩。田代さんっていつもあんなふうなんですか?」
「そうだよ。」愛は平気な顔で答える。
「え??」
「岩倉さんも一か月見てきただろう?田代さんはあんな人なんだよ」
「あれってホントなんですか?」
「お前さんの目は節穴か?」と高木は日本酒をちびりと呑んだ。
「さあ。色っぽいお姉ちゃんのいる店に行くぞ」とぶちょーが叫んだ。
「ぶちょーセクハラですから、やめてください。ほんとに気分悪いです。」と高木愛が厳しい目をしてぶちょーをにらんだ。
「はい、、すみません」とぶちょーの酔いが一気にさめ「調子に乗ると困るんでここらへんでお開きにしましょう」と愛の声でお開きになった。
そしてぶちょーはお金を支払い散り散りになった。
「変わった会社だ」ちさとはそうおもった。
駅に向かうと「おーい岩倉」と後ろから呼ぶ声がした。
同期の高橋竜馬だ。
「ああ、ドラゴン高橋さん」
「え。やめて。その呼び方、マジ困ってるんだけど」竜馬は苦い顔をする。
「駅に行くんだろ、一緒に行こうよ」
「ドラゴンさんもおんなじ方角ですか?」
「高橋でいいから、そう俺も今は社宅住まい」
「社宅せまいですねぇ」とちさとは言った。
「そうだな、、、でも家賃3千円とは滅多にないぜ」
「そうですね、ありがたやですね」
「ああ」
二人はそろって歩き出す。
「それにしても田代さんすげーな。」
「え?なにがですか?上司に対するあの態度ですか?」
「ちげぇーよ。知ってるか?田代さんは「伝説のエンジニア」っていうんだよ。なんでもしんかい2000の動力部分の設計をしたり胃カメラの曲がる部分の設計したんだって。社員食堂いけばそんな噂聞けるぜ。」
「いやー。貧しいもんで弁当作ってるんで社員食堂はなかなか。。。。。」
「でもさ俺がこの会社目指したのはしんかい2000の映像を見てからなんだ。ぼんやりとエンジニアにはなりたいと思っていたけどこの会社を選んだのは田代さんなんだ」
「へーすごいのは上司の扱いだけだと思ってましたけどね」
「まあ、それもおどろいたけどな」
若い二人は田代さんの話で盛り上がっていたその時僕は桜子さんの作ってくれたカレーライスを食べていた。
「うん、おいしいね」というと桜子さんは微笑んでくれた。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます