第22話 テンプレ......?
「いやぁ。あの門番うざかったなぁ~。」
「全くね。まぁそのお陰で意識が戻ってきたけど。」
と愚痴をモミジと話していると、
「申し訳ございませんでした...。まさか、あんなところに連れて行かれていかれるとは思わなくて...。」
と落ち込んだように王女様が謝ってきた。
「いやいや、あれは王女様のせいじゃないでしょう?」
「そうそう。あの門番がダメなやつだったってだけですよ。」
「しかし、恩人であり、客人である方を嫌な目に合わせてしまったのには、こちらに非がありますから...。」
と王女様が謝り、悪循環が続きそうに感じた俺は話を切り上げ、別の話題を出した。
「それはもう置いておいて、王城に入ったわけですが、これから何をするのですか?」
すると、王女様の付き人の人が話に入り込んできた。
「お二人には後ほど、国王陛下と謁見して頂き、褒賞と叙勲がある予定です。...先ほどのご無礼申し訳ございませんでした...。あなた方がいなければ姫様共々死んでいたでしょう...。」
先ほどの態度との違いに驚いた俺達は、
「さっきとかなり態度が違いますね。まぁ、その立場にいることを考えると憎まれ役に徹しないといけないんでしょうけど...。にしても褒賞はあるk「ちょ、ちょっと待ってください。」どうしたんですか?」
「分かっていたんですか?」
「え?...あぁ、さっきとの態度を比べればわかる人にはわかりますよ。」
「そうですか...。自己紹介がまだでした。私はセバスタンです。」
......ん!?なんか変な名前聞こえたぞ...いや違うはずだ...
「...名前、もう一度いいですか?」
「セバスタンです。」
「「ぶふぉ!」」
まさかのセバスたん♡www男なのにwwwやっべ、腹いてぇwwwめっちゃ可愛いんだけどwww
「あ、あの私の名前何か変でしょうか...。」
変だよ!!変すぎて笑いこらえるのに必死なんだよ!!
「い、いえ、気にしないでください。」
「そ、そうです。ただ私たちが思い出し笑いしちゃっただけですから。」
「そ、そうですか...。なぜか初めて私の名前聞いた時、笑う人がいるんですよね...。」
結構頻繁だった!!
「そ、そうだったんですか。それで叙勲とはどう言うことでしょう。僕たちは姫様ご一行を助けて、騎士達の治療をしただけなんですが。」
「だけって...。基本、あの人数で魔境の魔物と出会ったら死ぬか、良くて部位欠損ものですよ。ましてや姫様の乗る馬車ですから叙勲されて当たり前です。」
まじか!俺たち、めっちゃやばいところに飛ばされてたんだな。...にしても貴族になるのか...。
「...っと、国王陛下のご準備が整ったようなので謁見の間へと移動して頂きます。」
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
~謁見の間~
階段の上には豪華な大きな椅子があり、脇の方には貴族が並んでいた。緊張しながら王様が現れるのを待っていると、宰相らしき人が出てきた。そして宰相は王様の登場の決まり文句を言った。
「国王様のおなーりー。」
これで2回目だなぁ...。今回は王女様がいい人そうだったから大丈夫だと思うが...。
王様は大きな椅子にドシっと座ると、
「お主らが我が娘シャリルを助けてくれたのだな。」
「「は!!」」
「名をなんと申す。」
確か名字があるのは貴族だけのはずだからモミジにボロが出ないように俺が先に言うか。
「は!!私はツネナリと申します。」
「は!!モミジと申します。」
「ふむ、珍しい名前だな。どこからきた。」
くっ!この質問がくるか...
「わかりません...僕らは何があったのかはわかりませんが、2人とも名前と常識以外は全く覚えていないのです。」
「ふむ...親は覚えていないのか?」
「はい...。」
「そうか、わかった。お主達の身の上話は終わりとして、褒賞は何がいい。」
「褒賞は王都に5、6人ほど住める住居が欲しいです。これからは冒険者として生きて行きたいと思っていますので。」
「ふむ、では用意させよう。モミジはどうだ?」
「私はツネナリと同じ考えでございます。なのでツネナリの褒賞と合わせてくださって結構です。」
「ふむ、欲がないのぅ。まぁよかろう。では叙勲へと移る。ツネナリ、モミジ1人ずつに男爵の地位を授ける!!」
「「はっ!!」」
「お待ちください陛下!!姫様を助けたとはいえ、男爵は行き過ぎではないでしょうか!!」
なんじゃこいつ、めんどそうなやつだな。
すると王様は、
「何を言う!!シャリルを助けただけではない!!魔境から出てきたダークウルフを倒したんだぞ!!魔境から出て来た魔物は上位Bランクパーティ以上指定の魔物だぞ!!」
えっ。そんな強い魔物だったの⁉︎
「しかし、王都にいるA、Sランク冒険者に倒させれば大丈夫です!!」
「お前はわかっていないな。あの場所は魔境のすぐ近くだ。戦闘をしていれば、気づいていなかった魔物も寄ってくる。しかし寄ってこなかった。なぜか。一瞬で頭を切り落としたからだ。頭を切り落とすのはSランク冒険者でも5回やって一発できるかどうかなのだ。さらにシャリル達を守りながらだ。それを2人は同時に行った。この意味がわかるか?」
と王様が言うと、
「わ、わかります...。」
と言って渋々下がっていった。そして、
「従者は2人を応接の間へと連れていってくれ。他の皆は職務へ戻れ。」
と王様は声をかけ、従者は俺たちの元へ、さっき王様につっかかった貴族は憎しげにこちらを見て、舌打ちして帰っていった。
なんかあの貴族、また俺たちにちょっかい出してきそうだな。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます