第21話 王都での出来事。

俺達は今、詰問所に連れてこられていた。


「だから何度も言ってるじゃないですか!!俺たちはダークウルフ達に襲われていた王女様の馬車の助太刀に入った後、王女様から護衛を頼まれたから一緒に門の近くまできて王都に入る前にこの書状を渡されたんだと!!」


「うるさい!!どうしてお前のようなヒョロっちい奴が魔境から出てきていたダークウルフを討伐し、貴様のような下賤のものが王女様から護衛を頼まれ、書状を渡されるんだ!!この書状もどこかで拾ったんだろう!!どこで拾ったんだ!!言え!!」


「はぁ、もうあんたじゃ話にならない。王女様に確認とってくれよ...。」




~数十分前~


俺達は今、王女様の護衛をしていた。急に馬車が止まったかと思うと、王女様が俺達に1つの書状を渡して言った。


「さあ、もうすぐ門です。私達は貴族、王族専用の門を通って行きますが、平民の方々は通れないのでここから見える門から入ってください。門から入れば、すぐ城が見えるはずなので、そこに向かってください。街の中にもうひとつ門があります。その門は子爵貴族とAランク冒険者以上の街となっています。そこに入るには書状が必要となります。これを持っていけば馬車乗り場に案内されるはずなので、そこの馬車に乗って城まで来てください。」


「わかりました。...あ!忘れてた!!通行料はどれくらいかかるのですか?僕たちは今、一文無しです。魔境の魔物の素材を売りたいのですがどこにいけばいいですかね?」


と俺が言うと、


「なっ!!そうだったのですか。魔境の魔物の素材は貴重です。研究のために私達が買い取ります。なので売らないでください。」


と王女様が腰に下げている小袋から大金貨をひとつ取り出し、俺達に渡して来た。


「とりあえず、このお金で門を通ってください。」


「わかりました。」


と俺が言うと、馬車は離れて行った。


『少しいいでしょうか。』


「どうした〔叡智〕。」


『はい。これから街に入ることになると思いますが、価値の高いものを安くしようとする輩などが当然います。常也様の〔創造魔法〕で真偽などを確かめるスキルや魔法を創ってはいかがでしょうか。』


「なるほどな。〔創造魔法〕を使うのにどれくらい魔力が必要か試してみるいい機会だな。よし!!じゃあ創ろう!!...ってどうやって使うんだ?」


『イメージを固めてスキルなら〈スキル創造〉と魔法なら〈魔法創造〉と言えばできるようです。』


「なるほど、わかった。うーんと、まず〔究極想像アルティメットイマジネーション〕!!イメージは全ての眼系のスキルを合わせ、さらに足りない眼系のスキルを創ることができるスキルを...〈スキル創造〉!!」


と俺が言うと、Error 表示になっている魔力の4分の1ほど持っていかれた気がした。


「おっと、予想以上にコストがかかるんだなぁ。」


『常也様がお創りになったスキルが眼系のスキルを創り出す事が出来るようにした事が原因だと推測します。』


「なるほど、次からはもっと固定したモノにしないといけないな。」


と喋っていると


<<ピロンッ!!究極固有スキル《アルティメットユニークスキル》〔超鑑定〕が消滅、同時に究極固有スキル《アルティメットユニークスキル》〔全能眼オールアイ〕を習得しました。>>


「なっ!超鑑定が消えた...だと...。」


『ご安心下さい。〔超鑑定〕は〔全能眼オールアイ〕で使えます。』


「あっそっか。」


と、そうこうするうちに門の前まで来た。すると門番さんが出て来て、


「はい、じゃあ証明するもの見せてね~。」


「あー、それなんですがどこかで落としてしまったみたいなんです。なのでこの後、冒険者ギルドで再発行してもらおうと思ってるんです。」


「ふーん。わかった。で、そこの呆けてるお嬢さんは?」


「この子もです。」


「んー。なんか怪しい気がするからこの水晶に触って。犯罪歴があれば赤色になるから。」


と門番さんは水晶を取り出した。そして俺達はそれに手を置き、青色になった。


「うん。大丈夫そうだね。通行料は1人大金貨1枚だよ。」


と俺達に言ってきた。おかしいと思った俺は創ったばかりのスキルで門番さんを確認すると最後のカマかけらしく、本当は金貨1枚らしい。


「それは高いんじゃないですか?金貨1枚のはずですが。」


「ははは。ゴメンゴメン、これで本当に大丈夫だね。じゃあ君の言う通り、1人金貨1枚だよ。」


と言ったので、俺は王女様から頂いた大金貨を取り出して門番さんへと渡し、お釣りの金貨8枚を渡された。そして門番さんはこう言った。


「もう身分を証明するものを無くしたりするんじゃねーぞー。じゃあ、ようこそ王都へ!!」


と無事に王都に入ることができた。そして王女様から言われた通り、貴族達のいる中の門へと向かった。


そして中の門に入ろうと近づいていくと、


「止まれ!!これから先は子爵貴族様、Aランク冒険者様以上の街だ!引き返せ!!」


と門番が言ってきた。なので俺が


「僕たちは書状を持っています!!これを読んで下さい!!」


と言うと、門番は


「じゃあ、持ってくるのだ!!」


と言ったため持っていくと、


「なっ!これは王族の紋章...。貴様ら!!これをどこで手に入れた!!下賤なお前らが持っていていいものじゃない!!」


と言って門番は俺達を無理やり連行した。そして冒頭へと戻る。


「そんなもの確認せずともお前らが嘘をついているのはわかっている!!さあ、吐くんだ!!どこでこれを手に入れた!!」


「もう他の人を呼んでくれ...。......それさえもしないならお前をぶっ倒して、他の人を呼ぶからな。」


と、イライラを隠せず、無意識のうちに俺は今出せる覇気を一瞬だが最大まで出していた。


その出来事は王都中の住民や冒険者達が腰を抜かしたり、ナニカを漏らしたりするという伝説に残るのだが、それはまた別の話。


そして前にいる門番を見ると、いろんな場所から水を垂れ流し、


「殺さないで、殺さないで。」


と命乞いをしていた。そしてすぐにドタドタと足音が聞こえて来たと思うとドアが無造作に開けられた。


バンッ!!


「これをやったのはお前か?」


と騎士らしき若い男性が殺気を出しながら迫って来たので、


「間違えてやってしまったのは僕ですが、この門番がクソすぎるからいけないんですよ?こっちはちゃんと王女様からの書状を持ってやって来たと言うのに俺達を犯罪者のように言うんですから。」


とまた少し覇気が出てしまった。


「ーーッ!!な、なかなかの手練れのようだ。で、その書状は?」


「そこのアホ門番が持ってるはずですよ?」


と俺が言うと、その騎士らしき男性は、いつの間にか気絶していたアホ門番の身体を探り、書状を見た。


「なんと...。これから王女様にこの書状が本物か確認を取ってくるので、ここで待って頂けないだろうか。本当の書状だったならば、そこの門番は鉱山奴隷送りとなる。逆に偽の書状であるならば、あなた達が鉱山奴隷送りとなるからな。」


と話のわかる騎士らしき人が言ったので、


「ええ、お願いします。」


と言い、確認をしようと騎士らしき人が出て行こうとしたその瞬間、


「そんな必要はございません。」


と王女様が入って来た。そして続けてこう言った。


「その書状は本物です。副団長、その門番を尋問しなさい。理由によっては鉱山奴隷送りとしなさい。」


どうやらこの騎士らしき人は騎士副団長だったようだ。すると副団長は


「しゃ、シャリル殿下ぁ!?なぜこのような場所へ!?」


とかなり驚いたらしく、声を裏返させながら王女様に聞くと、


「やはり恩人を迎えにいくのが筋かと思いまして。」


と王女様はあっけらかんと言った。すると副団長は呆れたように言った。


「はぁ、まったくもうシャリル殿下はぁ。でこの者達が恩人とは?」


と副団長が聞くと、


「帰り際、少し魔境近くを通る場所で魔境から出て来たと思われるダークウルフ3匹が私達を襲って来たのです。それで騎士さん達がやられていると、この方々が一瞬でダークウルフを屠り、さらには騎士さん達の傷も治していただきました。」


と王女様は言った。すると、


「はぁ!?魔境から出て来たダークウルフ3匹を一瞬で!?...あり得ない...。と言いたいところだが、あれを受けるとな...。」


と副団長は驚愕しながらも納得したような顔をした。そしてバカ門番は尋問を受けるため連れていかれ、俺達は王城行きの馬車へと案内され、王城の中に入った。

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