第3話:職業、旅人

 あたしは、まだスマホを手に持ったままだった。


「何よ。また~…❓❓❓」

 着信画面を見ると、《昴》とあった。


「え、何これ、コウ……

 スバル……?」

 誰だろう…… 見覚えがない。


「ン…、もしもし……?」

 取り敢えず通話した。


《おいおい、何だよ。杏華キョーカ~~~~😆🎶✨》


「え……❓❓」

 何、いきなり怒鳴って……?

 誰よ…… 杏華ッて呼び捨てにして……


 耳にキンキンしたので、あたしは少しスマホを放した。


っで~ジャン。オレに何にも言わず、帰っちゃうなんてさァ~ー……》


「はぁ……❓❓❓」

 誰これ、何のクレーム……

「あの~! 失礼、どなたです……」


《どなたって、オレじゃん。スバルだよ》


 ン…、スバル……って誰……?

 全然思い当たる男がいない。


 こんな馴れ馴れしいヤツは、あたしの回りには……❓❓❓


「う…、もしかして……❗」

 ひとりだけ心当たりが……


《忘れたの~。ホラ、旅人だよ》


 あ~ーーー~ー~ーー❗❗❗

「あのラブホの~~……」


《そぉそぉ、やっと思い出した~。あれから大変だったんだぜェ…… 酔っ払った杏華を介抱すンの》


「うっうん……」

 あたしは軽く咳払い。

「あの……? どうして、あたしのスマホの番号を……!」


《え、だって交換したジャン。それも忘れたの~》

 ああ、忘れてる。


 スッカリねぇ……

 あんたの事は脳内から消去済みなんだから……


《っでさぁ、昨日も言ったジャン。頼み事があるンだよねェ……》


「はぁ~! 頼み事ォ~~ーーー」

 嫌な予感しかしない。


 その時、インターフォンが鳴った。


 え、ま、まさか……!?


 旅人~ーーーー❗❗❗❗❗








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