第4話 接続改装の夏 ハユル篇 2

「姫川! よかった……無事だったか」


 白い砂浜の美しい波打ち際で、ネロスが消えて水着姿となった姫川が腕を組んでいる。そこへハート・ハイブリッド・ギアを着た傷無が着地した。


「傷無くん! すみません、不時着だなんて天地穹女神アマテラスにあるまじきことです……」


「ハイブリッド・カウントが残り少ないんだから、仕方がないさ」


 慰めるような微笑みを浮かべ、傷無は通信ウインドウを開いた。


『キズナ? そっちにハユルはいたの?』


「ああ……いや」


 傷無は何か思いついたように、一瞬間を置いた。


「ここにはいなかった。となりの島じゃないかな」


『了解。じゃあ、わたくしも探してみるわ』


 ユリシアがウインクをすると、ウインドウが消えた。


「傷無くん?」


 傷無はハート・ハイブリッド・ギアを解除すると水着姿に戻った。


「あの……どうしたんですか? みんなに報告は……」


 嫌な予感がしたのか、姫川は浮かない顔で傷無に訊いた。


「報告はあとだ。ここは無人島で人目もないし、姫川のハイブリッド・カウントを回復させるには丁度良いと思って」


 姫川の顔がたちまち真っ赤になる。


「な、何を破廉恥なことを言っているのですか! いいから早く、私をフロートまで連れて帰って下さい!」


「無理だって。俺のハート・ハイブリッド・ギアは非力だから、姫川を抱いて飛ぶなんて出来ないぞ。姫川が自力で帰るには、接続改装してハイブリッド・カウントを回復しないと」


「く……卑怯です! そんな断れないようなことを」


 傷無は姫川の肩に手を置いた。


「今日みたいな墜落がもしも実戦だったら……姫川は死んだかもしれない。冗談ごとじゃないんだ。姫川の命がかかっている」


 真面目な傷無の瞳と声に、姫川は気圧された。自分のことをこんなに心配してくれている。そう思うと胸の中が熱くなり、顔まで火照ってきた。


「わ、分かりました……これも任務の内ですし……」


 傷無は持ってきたシートを砂浜に敷いた。


「ここに寝てくれ」


 姫川は素直に横になった。腹ばいになった姫川の背中に、ぬるりとしたものが塗られる。


「ひゃっ! な、何ですか?」


「日焼け止めのローションだよ。ついでに、接続改装を促進させる効果があるって識名さんが言ってた」


「なんだか、嫌な予感しかしませんが……」


 姫川の肩から肩甲骨、背骨とぬるぬるしたオイルを広げて行く。とろりとしたローションが広がるにつれ、姫川の体はてらてらと光る。肌に光る光沢が、とてもいやらしく見えた。


「んっ! き、きずなくんっ、せ、背中をそんな風に、さわらないで……」


 傷無の指が背筋を行ったり来たりする。指をすべらす度に、姫川の体がびくびくと震える。傷無はその手をビキニの紐を解く。


「あ! な、何を!?」


「日焼け跡が付いちゃうからな。綺麗に塗らないと」


「み、見えちゃうじゃないですか!」


 姫川は上半身をシートに押し付け、両腕で胸の横をガードした。姫川の文句を言う声を聞こえないフリでかわし、傷無は姫川の大きなお尻をつかんだ。


「ひっ! くっ……ぁあああああああああんんんんっ!」


 姫川があまりの快感に、思わず上半身を反らした。その勢いで、持ち上がった胸が太陽の下に姿を現し、ぷるんと揺れた。


「きゃ……!」


 慌てて伏せると胸を体の下に隠した。傷無は構わず、オイルを姫川の柔らかい尻肉に擦り込んで行く。


「ひうっ……き、傷無くん、そ、そこはもういいです。もう十分……でしょう?」


 うるんだ瞳で姫川が訴えてくる。しかし、それは真意ではない。傷無はお尻と水着の間に手を入れると、水着を引き下ろしてゆく。


「な!? 何を、するんですかっ!」


「せっかく誰もいないんだ。姫川も開放的になれるんじゃないかと思って」


「開放的すぎます! ああっダメです!」


 あっさりと水着を姫川の足首から抜き取る。これで姫川は素っ裸になってしまった。オイルでぬるぬるに光る体をよじって、何とか傷無の視線と太陽から逃げようと試みるが、無駄な努力だった。


「ああん、もう! 傷無くんったら、ひど──ぁあああああああ!」


 お尻を揉まれる快感に耐えられず、お尻を守る様に姫川は無意識に仰向けになる。思わず傷無はごくりと喉を鳴らした。


 オイルに濡れた美しい肌が、一糸まとわぬ姿で太陽の下露わになる。傷無は姫川の形のいい胸に触れる。


「きゃああああん!」


 姫川は胸を守る様に手で隠す。しかし傷無の手は既に胸をしっかりつかんでいる。オイルの滑りの良さを生かし、手の平の中で胸を滑らせて快感を擦り込んでゆく。


 姫川の胸の先が徐々に固さを増し、それが傷無の手の平をくすぐった。そして、姫川の快感もそれにつれて高まって行く。


 ぎゅっと押し付けられる姫川の腕に追い出されるように、傷無の手が滑り落ちる。しかしそのまま姫川の下腹部をなでて行く。


「ふぁあっ! ダメ……です、そこは……」


 その下にあるものを守ろうと、姫川は体をうつぶせにする。シートの上はオイルだらけで、滑って自力では起き上がれないほどだ。


 傷無は上を向いた姫川のお尻をつかんで開いた。そこには控えめに口を閉じた、絶対に他人には見せない器官があった。


「ひぅっ! ひ、きずな、くん……おねがい、そこ、だけは……」


 姫川が涙目で傷無を見つめている。しかし、傷無は気が付いていた。その瞳の中に、接続改装の光が泳いでいるのを。


「ああ……安心しろ。姫川」


 傷無の優しげな声に、姫川は安堵の溜め息を漏らした。


「接続改装はこれで成功だ」


 傷無は、姫川のそこに指をもぐり込ませた。


「っ……!?……か……はっ!」


 姫川の目が信じられないと言いたげに見開かれる。そして傷無は、指をさらに深く押し込んで、曲げる。その瞬間、姫川の目の前で火花が散った。


 お尻から頭まで、暴力的なまでの快感が突き抜ける。


「ひ、い、ぁあああああああああああああああああああああああああああ!」


 絶叫と共に、姫川の体から赤い光が溢れ出す。ステイタスを確認するまでもない。

 これで姫川のハイブリッド・カウントは完全に回復したことを、傷無は確信した。


「接続改装……完了だ」


 シートの上でオイルまみれになった姫川が痙攣している。その光景を見て、傷無はちょっとばつが悪い気持ちになった。


「……確かに、少し開放的すぎたかな?」


 痙攣する度に、ふるっと揺れる姫川のお尻を見つめて、傷無はそうつぶやいた。

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