第3話 来襲! 不孝のサヤバシ
道場内、ヤスツナの部屋。
朝の光が燦々と部屋を照らしており、遠くには雀の鳴き声も聞こえる。
シノギ、礼をして昼餉を持って入る。
シノギ「ヤスツナ様、
ヤスツナ「あぁ、済まないね、シノギさん……うむ、美味そうなうどんだ」
シノギ「お粥ばかりではと思い、先日買って参りました」
ヤスツナ「ありがとう……うむ、美味い」
ヤスツナ、黙々とうどんを啜る。
微笑むシノギ。
シノギ「……具合は良さそうですね」
ヤスツナ「わかるか?」
シノギ「眉間に皺が寄りませんもの」
ヤスツナ「ふっ。なら、俺も役者になれそうだな」
シノギ「まぁ――その調子で道場を抜け出る一幕があれば、今度こそ柱に縛り付けますからね」
ヤスツナ「む……」
昼餉を終えるヤスツナ。
シノギ、椀を受け取りながら。
シノギ「ヤスツナ様……お気持ちは重々承知の上で申し上げますが、未だその傷は完治しておりません。時機をお待ちください」
ヤスツナ「だが、そうこうしている内にムネチカが――」
シノギ「ヤスツナ様」
ヤスツナ「シノギさん……あの時少しなりとも見えたはずだ、ムネチカの目が。あれはムネチカではないと感じたはず」
シノギ「で、では誰が――」
ヤスツナ「奴は自分から名乗り出た。『
シノギ「ヤスツナ様……お教えください、無間衆とはどの様な輩なのですか」
ヤスツナ「わかった……だがその前に、クニツナたちを呼んでもらえないか。あいつらにも教えなければならない」
シノギ「わかりました」
椀を下げつつ、シノギが部屋を出る。
己の拳を見つめるヤスツナ。
ヤスツナ「……また戦だ、シュテンドウジ……いつの世も……」
程なくして、入室するクニツナ、ツネツグ、ミツヨ。
座して布団から上体を起こしたヤスツナと向かい合う。
それに添うシノギ。
クニツナ「なんだよ兄貴、改まって大事な話~って。あ! もしかして、俺たちにご褒美でもくれるのかっ!?」
ツネツグ「クニツナ」
クニツナ「なんだよツネツグ」
ミツヨ「……」
クニツナ「ミ、ミツヨまでそんな怖い顔すんなよ!」
ツネツグ「いいから、ちゃんとしろ」
咳払いを一つするヤスツナ。
姿勢を正す三人。
ヤスツナ「クニツナ、ツネツグ、ミツヨ。大事な話というのは、今後の話だ。先の戦い、お前たちは本当によくやったと思っている。未だ修行中の身ながらあの無間衆の一人とその闘身を下したのだからな」
クニツナ「へへっ、なんて事はないって」
ツネツグ「横から口を出すな」
クニツナ「へいへい……」
ミツヨ「……」
ヤスツナ「だがな、これで無間衆の脅威が無くなった訳ではない……俺たちは今、生き延びさせてもらっていると言っても過言ではないんだ」
クニツナ「何言ってんだよ兄貴! 兄貴が戦えなくったって、俺たちが無間衆なんか軽ぅく倒してやるって!」
ツネツグ「クニツナ」
クニツナ「なんだよいちいち!」
ミツヨ「口を慎めと言ってるんです!!」
クニツナ「!?」
ツネツグ「!?」
ヤスツナ「ミツヨ、やめろ」
ミツヨ「しかし!」
ヤスツナ「ミツヨ」
ミツヨ「……」
クニツナ「……」
ツネツグ「……」
ヤスツナ「そもそも無間衆とは何かを、お前たちやシノギさんに教えなくてはならんな……少し遠回りになるが、ちょうどお前たちの学を確かめる機会にもするか」
ヤスツナ「お前たち、『
ミツヨ「もちろんです、師匠。十年前に起きた将軍家の後継者争いが火種となった大きな戦です」
クニツナ「……」
クニツナ、ふと虚空を見つめ、ぼうっとし始める。
ヤスツナ「その通りだミツヨ。……どうしたクニツナ」
クニツナ「え? あ、ヘヘッ、なんでもねぇよ。お、俺も知ってたぜそれくらい!」
ヤスツナ「ふっ、まぁいい……無間衆は、その大丹の乱が始まったとされる辺りから現れた悪党どもだ。決まったねぐらを持たず、頭とその幹部が何十何百という悪人や罪人ばかりを束ねているらしい。その幹部こそが、無間衆八逆鬼――俺が最初に打ち倒したのが
クニツナ「おう」
ツネツグ「そして、ムネチカ様の名を騙り」
ミツヨ「師匠に手傷を負わせた」
ヤスツナ「うむ。それが六の逆、謀叛のヒルコ……これが本当であれば由々しき事態だ。俺の勘が正しければ、
シノギ「ヤスツナ様……闘身を二つ扱えるというのは、特別な事なのですか?」
ヤスツナ「うむ……闘身は俺自身でさえ謎の多いものだが、今まで誰ひとり、闘身を二つ持つ者など居なかった……極めて特殊な例だ」
シノギ「ヤスツナ様は、大丹の乱の頃、何をされていたのですか?」
ヤスツナ「……しがない浪人だったよ。生きる為に国中を渡り歩き、飯に困ったら用心棒や
ミツヨ「そうだったのですか……!?」
ヤスツナ「まぁ、俺の事はいい。話を戻そう――噂によると、無間衆は先の大丹の乱の火種とも言われている」
クニツナ「!?」
ツネツグ「つまり、無間衆が、今の戦乱の世を作っていると……?」
ヤスツナ「あくまで噂だが、考えられない訳ではない。事実、俺が浪人をしていた頃から、何か大きな集団が大丹の乱に関与しているという話があった。そしてヒルコは言っていた『ムネチカは生かしておいてやる』と――ここからが本題だ。ムネチカを救い出す。無間衆に捕えられているであろうムネチカを、俺が救い出す」
クニツナ「俺もついてくぜ! 兄貴!」
ヤスツナ「クニツナ、ムネチカ救出は
クニツナ「わかってるよそんな事! けどな、どんな奴が現れたって、俺の
ヤスツナ「自惚れるな! たわけが!」
クニツナ「ッ!?」
ヤスツナ「グフッ!? ゲホッゲホッ!」
咳込むヤスツナ。
シノギ「ヤスツナ様……!」
ヤスツナ「ゴホッ――この、俺の傷を見ろクニツナ。峰打ちだと奴は言った、この
クニツナ「……」
ツネツグ「……」
ミツヨ「……」
ヤスツナ「俺は、その渦中に、お前たちを巻き込みたくはない、お前たちを失いたくはないのだ……シノギさんと共に、この道場で俺の帰りを待っていて欲しい」
ツネツグ「兄上……」
クニツナ「……」
暫し、無言の状態が続く。
やがて。
ミツヨ「……
ヤスツナ「ミツヨ……?」
ミツヨ「師匠は以前おっしゃいました。『師は人に限らず。天も地もまた師である』と。だからムネチカ殿を旅立たせたのだと」
ヤスツナ「……」
ミツヨ「確かに某たちは未熟です、師匠の足元にも及びません。現に某は何もできず、ただ人質となることしかできませんでした……某は悔しいのです! 何も御役にも立てなかった自分が! だから師匠にもっと闘身の事を、剣の事を教えてもらいたいのです! 師匠に教えを乞う事叶わないなら、死んだ方がマシです! だからお願いします! 某を、某たちを連れて行って下さい! ムネチカ殿を救うお手伝いをさせて下さい! 師匠のお傍に居させて下さい!」
ツネツグ「ミツヨ……」
クニツナ「ミツヨが、泣いてる……」
ツネツグ「あ、兄上、私からもお願いします! ムネチカ様を救い出したい気持ちは、私とて同じです! 待っている事などできません!」
クニツナ「俺だって! ……お、俺だって、自惚れてるかもしれねぇけど、気持ちは変わんないぜ!? それに、俺だけじゃ弱くても、ツネツグやミツヨ、兄貴と一緒に戦えば、絶対強い! 俺も連れてってくれよ兄貴!」
ツネツグ「お願いします兄上!」
ミツヨ「お願いします!」
シノギ「皆……」
思案するヤスツナ。
やがて重い口を開く。
ヤスツナ「……お前たちは、俺の希望だ……」
クニツナ「えっ……?」
ヤスツナ「ムネチカや、ここに居るクニツナ、ツネツグ、ミツヨ……皆、俺の弟であり、家族だ……シノギさんだってそうさ……俺はもうこれ以上、戦で何も失いたくないんだよ……」
シノギ「……ヤスツナ様は、心が狭いのですね」
ヤスツナ「え……?」
シノギ「ご自分で全て背負って、私たちは待っていろだなんて……私たちが
ヤスツナ「……」
シノギ「失いたくないのは、私とて同じです――私でよければ喜んで、剣や矢の楯になります……私もどうかお連れ下さい、ヤスツナ様」
ミツヨ「シノギさん!」
ツネツグ「楯だなんてそんな――」
シノギ「冗談です。私にだって、剣や体術の
ツネツグ「え!?」
クニツナ「本当か!?」
ミツヨ「は、初耳です……」
シノギ「ふふっ」
ヤスツナ「……辛く、厳しい旅になろう」
シノギ「共に歩めば、何と言う事はございません。きっと」
ミツヨ「師匠」
シノギ「ヤスツナ様」
ヤスツナ「……わかった……行こう」
ミツヨ「師匠……!」
ヤスツナ「皆で、ムネチカを救い出す……いいな」
ツネツグ「勿論です!」
ミツヨ「はいっ!」
クニツナ「ぃよっしゃあ!!」
シノギ「但し」
ヤスツナ「っ?」
シノギ「ヤスツナ様はそのお傷が治られてから。それまで三人は少しでも鍛錬を積んでくださいませ。ムネチカ様をお救いする前に、行き倒れでもしたら道場の恥、師として恥です。いいですね?」
ヤスツナ「……シノギさんには敵わないな」
シノギ「ふふ。そうと決まったら、ヤスツナ様は横になっていてくださいませ。大丈夫です、ムネチカ様はきっと無事でおられます……ヤスツナ様の、一番弟子なのですから」
ヤスツナ「……信じよう」
ヤスツナ、シノギに促され、横になる。
クニツナ「鍛錬つってもシノギ、具体的に何をするんだよぉ」
シノギ「あ、それは――」
ヤスツナ「この際だ、ひとつお前たち三人で組手をするがいい。敵は一人とは限らん……一対二、
シノギ「まぁ」
ミツヨ「し、師匠、それは――」
ツネツグ「いくらなんでも」
シノギ「名案です!」
クニツナ「そうだよ!」
ミツヨ「え?」
ツネツグ「は?」
シノギ「厚かましいようですが、一度、参加してみたいと思ってたんです。私を守って下さるのは、どのお侍でしょうか? フフッ――」
ヤスツナ「遅かれ早かれ、そういう時は来よう……皆で精進しようではないか。行ってこい」
クニツナ「おうよ! それじゃあ早速稽古しようぜ稽古!」
シノギ「そうですね。では、私はたすきを持って参ります」
クニツナ、シノギ、そそくさと部屋を出る。
ツネツグ「あ、クニツナ――まったく……シノギさんまではしゃいじゃってる気がするんだけど……」
などと呟きながら、部屋を出るツネツグ。
残るミツヨ。
ミツヨ「師匠……申し訳ありません。某の様な者が、師匠に口出しをして――」
ヤスツナ「師は、何も俺だけとは限らん」
ミツヨ「はい……?」
ヤスツナ「時には、俺がお前たちに教えられる事もあるという事だよ……」
ミツヨ「……も、勿体ないお言葉です」
ヤスツナ「俺は、眠らせてもらう……」
ミツヨ「……お休みなさいませ」
外からクニツナが呼びかける。
クニツナ「やるぞー、ミツヨー!」
ミツヨ「今行くっ!」
一礼し、部屋を出るミツヨ。
ヤスツナ(シュテンドウジ……また戦だ……また罪もない者が死んでいく……いや、断じてさせない……俺が、今度こそ守り通す……!!)
拳を天にかざし、握りしめるヤスツナ。その手は淡く光を帯びている様であった。
クニツナ「よぉしっ! 早速始めようぜ! 組手!」
ツネツグ「それは構わないが……どうするんだ? 一対二か、三竦みか――」
クニツナ「もちろん! シノギを守って戦う!」
ツネツグ「……人を庇って戦った事、今まで君にあったかい?」
クニツナ「無い! だからこそ面白そうじゃんか!」
ミツヨ「なら――」
クニツナ「?」
ツネツグ「ん?」
ミツヨ「某が、シノギさんを守ります」
クニツナ「えー!? ずりぃぞミツヨ!」
ツネツグ「それに、まだシノギさんが来て――」
ミツヨ「某は! 二人と戦いたいんです!」
ツネツグ「!?」
クニツナ「……だからか」
ツネツグ「え?」
クニツナ「お前がさっきっから怖ぇ顔をしてたのは、俺たちと戦いたかったからか?」
ミツヨ「某も師匠の弟子の端くれ……けれど二人に負けないくらい稽古をしてきております! お二人との勝利で、先の無念を晴らさせていただきます!」
クニツナ「ミツヨ落ち着け! あれは、しょうがなかった事だろ!?」
ツネツグ「そうだ! それにそれは稽古なんかじゃない! 落ち着くんだミツヨ!」
ミツヨ「問答無用!」
クニツナ「……言ってわからねぇなら、こいつで教える! 鬼丸!!」
ミツヨ「
ツネツグ「クニツナ……!」
シノギ「お待たせし――ど、どうしたんです急に……!?」
ツネツグ「シ、シノギさん、それが……!」
ミツヨ「本気で参ります!」
クニツナ「上等だ!」
睨み合うクニツナとミツヨ、鬼丸と大典太。
ミツヨ「はああぁぁぁぁぁっ!!」
クニツナ「おりゃああぁぁぁぁぁっ!!」
別所、黄昏時。
街道を走る駕籠が一つ。
サヤバシ「……」
駕籠屋甲「えっほっ! えっほっ! えっほっ! えっほっ!」
サヤバシ「あ、あのぉ……」
駕籠屋乙「えっほっ! えっほっ!」
サヤバシ「あの……あの、すみません!」
駕籠屋甲「へいっ!」
駕籠屋乙「如何いたしやした?」
駕籠が止まり、駕籠からサヤバシが顔を出す。
サヤバシ「あの……あの、その、ぼく、ぼく」
駕籠屋甲「?」
サヤバシ「……殺されませんか? 大丈夫ですか? ぼく、ぼく、この駕籠かごに乗っていて、い、命を狙われたりしませんか?」
駕籠屋乙「……?」
駕籠屋甲「……だ、大丈夫でさぁ」
駕籠屋乙「お客さんこそ、大丈夫かい? 顔色が悪い様だが……」
切羽「……殺せ」
サヤバシ「ヒッ!?」
突然怯え始めるサヤバシ。
声――切羽の声は駕籠屋たちには聞こえない。
駕籠屋甲「お、お客さん?」
駕籠屋乙「どうしやした?」
切羽「さもなくば、死ぬ……」
サヤバシ「い、嫌だ、嫌だ、嫌だ……」
駕籠屋甲「お、おい、大丈夫かって聞いてんだ」
サヤバシ「だ、だい、大丈夫じゃ――ハァ、ハァ、ヒィ――」
大量の汗をかき始め、呼吸を荒げるサヤバシ。
その異常さを気味悪がる駕籠屋の二人。
駕籠屋甲「……こりゃ、やべぇ客乗せちまったかな」
駕籠屋乙「すげぇ汗だ……途中の町で医者に診せるか」
駕籠屋甲「あぁ、途中でおっ
駕籠屋乙「おい」
駕籠屋甲「いいんだよちょっとぐれぇ。ほら行くぞ! せぇ!」
駕籠屋乙「のっとぉ!」
掛け声の後、再び走り出す駕籠。
駕籠屋甲「えっほっ! えっほっ!」
駕籠屋乙「えっほっ! えっほっ!」
サヤバシ「ヒィ、ヒィ……ハァ、ハァ……」
切羽「殺せ……殺せ……さもなくば、お前が死ぬ……殺せ……殺せ……」
サヤバシ「死にたくない、死にたくない、死にたくない……」
切羽「殺せ……殺せ……サヤバシ……お前が、死ぬ前に……殺せ……」
サヤバシ「でも、でも、でも、こ、殺し、ころ、殺しなんて」
切羽「死にたいか……死にたいか……死ぬのは怖かろう、怖かろう」
サヤバシ「ヒッ! ……嫌だ……死にたくない……死ぬのは、死ぬのは、死ぬのはぁぁ……!!」
切羽「殺せ!!」
サヤバシ「ひぃやぁぁぁぁぁぁぁぁぁっっっ!!!!」
駕籠屋甲「えっ」
突如、駕籠の中から直刀の様な刃物が飛び出し、駕籠屋甲の首が吹き飛ぶ。
乙の足元に甲の首が落ちる。
サヤバシ、甲の身体を、更に隠し持っていた刃物で切り刻む。
駕籠屋乙「あ……あ、あーっ、あー、あーあーっ、あーっ!!!」
サヤバシ「嫌だ! 嫌だ! 嫌だ! 死ぬ! 嫌! 死ね! あぁ! はぁ! あ、あ、あ、あ、あぁぁっ! いやぁぁぁっ!!」
飛び散る肉片、沈み行く日に照らされた臙脂が迸る。
半狂乱の駕籠屋乙がその場から逃げ出す。
駕籠屋乙「誰かぁぁぁぁ!! 誰かぁぁぁぁぁ!!」
サヤバシ「お前もだぁぁぁぁぁぁ!!」
駕籠屋乙「ひああぁぁぁぁぁ!!」
サヤバシ「サァァァァァヤァァァァァバァァァァァシェェェアァァァッ!!」
夕闇の中に、駕籠屋らの肉片と駕籠の破片が消えていく。
血にまみれたサヤバシが立ちすくみ、涙を流している。
サヤバシ「うっ……く……あ、はぁ……あ、あ……また……まただ……ぼくは、ぼくは……」
切羽「よくやった……サヤバシ……喜べ、お前は生きている」
サヤバシ「……い、生きてる」
切羽「そうだ……幸せだろう……噛みしめろ……今のお前は生きているという喜びに浸かっていいんだ……」
サヤバシ「……幸せ……生きてる……ぼくは、まだ、生きてていいんだ……あは、はは、あは、は、は……」
切羽「なれど、まだだ……まだお前を殺しに来る」
サヤバシ「!? まだ……? また……?」
切羽「そうだ……そいつは子供だ……」
サヤバシ「子供……?」
切羽「そいつは剣の師だ……」
サヤバシ「剣の、師……」
切羽「そいつらは皆、闘身を使う……」
サヤバシ「とうしん?……闘身……?」
切羽「そうだ……今度こそ、お前は死ぬかもしれない」
サヤバシ「そ、それは嫌だっ……嫌だ、嫌だ、嫌だ……! 幸せ、生きる、生きて、幸せ……ハァ、ハァ……ヒィ、ハァ……」
切羽「ならば行け……行け、サヤバシ……殺される前に殺せ……殺せ……行けぇ……!!」
サヤバシ「行く……行くよ……行くよ……殺す……殺す、殺す、殺すよ、殺してやるよっ! 殺してっ! 殺すんだよぉぉぉぉぉぉぉぉ!!?? ッハッハッハッハァァァァァァ!!」
闇の中を走るサヤバシ、狂った笑い声が、街道に、山道に木霊する。
切羽「そうだ……ゆけ……サヤバシ……奴らの名は、クニツナ、ツネツグ、ミツヨ……そしてヤスツナ……殺せ、殺せ、殺せ……」
切羽「大丈夫だ……お前ならやれる……お前は
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