第9話 動き出す

 コンコン………………


 その重厚な扉は、静かにノックされる。


 静かに音もなくヨルさんは、私をその部屋から連れ出す。


 ……………………


 それからヨルさんは、普段、私たちがあまり使わないような道筋を通り私を地下の食料貯蔵庫までへと連れていく。


「美琴ここで少し待つネ」


 ヨルさんは、そう言うとその部屋を出ていく…………去り際


「美琴!これから何があっても頑張るネ!ファイトイッパツネ!人間やればできるネッ!」と扉の向こうから私への応援を残して…………


 ………………


 漆黒の冷たい暗がり。私は、不安とこれからの恐怖を押し殺すかのようにヨルさんからもらった例のあれドリンクにかじりつく…………


 それからしばらくして事は、ゆっくりと動きだして行くことになる。


「ヨルがいっていたのは、お前の事か」


 その二人の男は、そういって部屋の中へと入ってくる…………


 ………………


 私は、これからどうなってしまうのだろうか…………


 ………………


 無意識に震える両の足。

 ………………


 そして私は、視界をきつく奪われ目隠しその男ふたりにどこかへと連れ出されていくことになる。声にならない壮大な不安と恐怖と一緒いっしょに…………


  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る