第4話
唐突にインターフォンがなった。
何か用事でも入っていたかなとカレンダーをみると、10時から担当の子と会う約束になっている。
ここから玄関へは10分ほどかかる。
現在時刻11時15分。絶賛大ピンチだ。
ふすまを開け、のんびりと歩き出した。
遅いが早い、早いが遅い。
急がぬほうが得な事もあるのだ。
10分後、私の頭に雷が落ちる事になるのだが。
――――――――
向かいの変人先生の家からおおきな怒鳴り声がした。
いつもより大きな声で、いつもの人の声だった。
テレビから流れる笑い声を叱り飛ばすようにその声は響いた。
あわててテレビの電源を落とし窓へ向かい、窓を開けてベランダに出る。
スリッパを履いて気がついた。
「そういえば昨日は雨だった...」
靴下はべたべたで、気分も急降下。
野次馬根性を全力で捨てて部屋に戻り、自分を慰めるために冷蔵庫からプリンを出した。
――――――――
のどがヒリヒリする...
さっき先生に怒鳴ったせいでのどがいたい。
かばんをあさり、のど飴を出す。からころと口の中でそれを転がすと甘い蜂蜜の味が広がり、それだけですっかり癒されたような気分になった。
ちらり、とよこを見ると隣を歩くもっさりとした頭の男が、こちらを見て手を合わせた。その顔は珍しくも必死で、少し機嫌の戻った僕はとりあえず昼飯でもおごってもらおうと思った。
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