第2話

妄想というのは恐ろしいものだ。

それはさも己の目前にあるようでただただ虚ろに、イミテーションの輝きを放つ。

頭では、わかっているのだ。

――これはニセモノだ。

けれども空に目は浮かぶし相変わらず引き出しの中に我々はいるのだ。


――今日も、空は青いな。

それだって与えられた平和かもしれないのに、小さな安寧を捨てられずにいる。


――――――――――


(うげっ)

出た。二丁目の変人先生。

いつもなら回れ右をして違う道を行くのに、今日は恐怖より好奇心が勝った。

すれ違うまで、あと15メートル。

変人先生...もとい速水さんはブツブツと何かつぶやいている。

「$%@?+kあいぇ<*...」

――やっぱり怖い。

自分でも驚くほどのハイスピードで半回転すると、ギネスブックに乗るほどのスピードで駆け出した。


――――――――――


ピンポーン

玄関チャイムの間抜けな音がなる。

おかしいな...

企画ができたから取りに来いと言われて来てみたら家はもぬけの殻。

そして俺が家の前に来てそろそろ1時間。

警察を呼ばれてもしょうがないころだろう。

われらが編集長(50代)に今の状況を話すと、

「だいじょうぶい☆」

と、何が大丈夫なのかわからない上に、気持ち悪い声で対応してきたので会社に戻ったらとりあえずお茶は熱々のを出してやろうとおもった。

編集長は猫舌である。


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