王妃と魔女の企み

 人のあるところに厄介ごとあり。王国にはいくつもの問題がある。また、個々の人々にも悩みがある。

 その悩みの一つを持つのが第一王妃だ。

 第一王妃は王女の母である。

 しかし王との間には娘しかおらず、このまま息子が生まれなければ、最終的に男子を産んだ第三王妃に立場を奪われてしまうのだ。期限は王が退位するまで、それまでになんとかする必要がある。

 第一王妃は毎晩のように自らの部屋で一人、苦悩していた。

 たった一人で苦悩しすぎて、悪い方向に突き進んでいった。



 ある日、第一王妃は部屋に悪い魔女を呼んだ。

「悪い魔女よ。妾の練りに練った構想を聞くがよい」

 第一王妃は語る。隣国ゾーマから王子を招き、娘の婿として迎え入れればどうであろうかと。

 隣国ゾーマは広大な土地を支配する軍事大国である。ゾーマの王子を養子にして王としてしまえば、第一王妃は王の母である。今のように権力の座に居座ることは容易い。さらに、娘を思いのままに操れたなら……。

 悪い魔女は忖度そんたくし、それ以上を第一王妃の口から言わせることはなかった。

「ヒェヒェヒェ、ワタシにお任せくださればいかようにも」

 その後、悪巧みは一晩続いた。それはもう翌朝の第一王妃の目にはクマができたほどである。



「王妃よ、大丈夫か」

「王、妾は余裕でございますことよ。うふ、うふふふ」

「医者よ、王妃を医務室へ」

「うふふ、うふふふふふ」

 医務室のベッドで横になりながらも第一王妃は悪巧みを実行に移すことにした。

 隣国への使いが出され、悪い魔女にとても悪い薬を研究させるのだ。

 準備は着々と進んでいった。

 その間も王女は何も知らぬまま日々を過ごしているのであった。

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