第1章★歩く植物を追いかけろ!

「……悪夢ですね」

 目を覚ましたわたくしは、今しがたの短い睡眠が寄越した“記憶”に頭を抱え込みました。これが本当のただの“夢”ならば良かったのになぁ……。アンドロイドとはいえあちこちに人造の生体部品を使っていますから、生身の人間よりも短時間の眠りで充分とはいえ、だいたい同じように定期的に睡眠をとりますし夢を見ます。


 マスターたちがお間抜けな事情で逮捕されたのは二ヵ月前のことです。昨日になって塀の中の彼らから最初の録画ビデオレターが来たので、こんなリアルな映像が再現されてしまったのでしょう。

 全身を本格的に再起動してハンモックのようなベッドから降ります。

 わたくしの全身は量産品ではない特殊な造りなので、普通に触ったぐらいでは生身ではないとは分からず、至近距離での見た目も関節にうっすらと線が入っているほかは、ほとんど地球系の少女の裸体と同じです。――外見だけならば――ですが。

 特別な下着とドロワーズを身につけてアンドロイド用に強化コーティングをかけた絹の青いエプロンドレスを着ます。甲にストラップが付いたかかとが低い靴を履き、さまざまなアイテムを詰め込んだウエストポーチを腰に巻き、壁に取り付けられたカーテンを引きました。

「いいお天気ですねぇ」

 大きな円い窓からは、眠る前に到着したばかりのこの惑星ソンリンリンの、たいそう自然豊かな景色が一望できます。

 ……まぁ、自然豊かっていうか、自然しかありませんけどね。地球でいえばジュラ紀や白亜紀レベルの未開の星なので原始的な裸子植物や被子植物、シダや草しか見当たらないド田舎です。遠くに山、向こうにも山々。あとはみんな森です、ジャングルです、密林です。

 人の手で刈られた痕跡がない枝葉は好き勝手に生い茂り、均されていない地面は荒々しく土塊が剥き出しで、太く捻れた高い木々の合間に、背丈よりも高そうな草や野性的なツタがところどころ密集しています。

 未知の薬草を追い求める大手製薬会社などもまだこのあたりまでは調査していないようなので、惑星全土を探しても、人工物はこの常春号だけという可能性は高いです。これらの草と木々をかきわけて、森の隙間に着陸するのは大変でした。


 さて。

 この宇宙船常春号がいちばん似ているのは、二段式の雪だるまです。似ているというか絶対にモデルですよね。新雪のような白銀の外壁。上の球体である頭部に左右並んだ真っ黒な円い目が、操縦席の窓。

 わたくしがいま外を眺めているのは、下段の丸いボディに縦に並んだ、みっつの円い炭団タドンのボタン……に見える黒い窓のうち、いちばん上の物です。

 飛ぶ時はこのまま水平移動したり、頭部を進行方向に向けたりします。シュール!

「さて、この星にいるという二足歩行植物を捜さないと……」

 それがビデオレターの指示でした。

 マスターたちの命題は『知性がある植物を見付けること』――彼らフェアリィ族のルーツを探しているのです。二人が出所する日までは、有能な秘書であり管理人であるわたくしが、彼らの代わりに賢い植物を捜し求めて、採取することになります。

「……誰に手伝って貰おうかな」

 宇宙船から離れることができない、船内ロボットたちは論外。

 オモチャ連中のほとんどはアテになりません。

 シェフのタン=ポポが考えているのは、三食のごはんと予算や経費のことのみです。ガンナーのアカザは船内で失踪しているので探し出すだけで大変ですし、頼れる姉御肌とはいえ歩行式金魚鉢から出られない体質の牡丹博士を、冒険に連れ出すのも申し訳ないですからね。

 というわけで。

 わたくしはいつものようにチューズの一匹をメカ関係のお守り替わりにひょいと掴み、物品管理に燃えるユキヤナギ三世とともに植物採集の探索へと出ました。三世はコンプリートマニアなので、標本や倉庫に空きがあると落ち着かないのですって。


「――しかしまさかあんな事件に遭遇するとは、さすがのチュー(単数形)も思わなかったにゃ」

「余計なフラグを立てないでくださいよ、ネズミ」

 手の中のチュー(パステルパープル)を、たしなめます。事件もなにも、メインハッチから出て十分もたってないではないですか。ジャングルの、シダやソテツに似た木々の向こうにまだ、腕のない巨大な我らが雪だるまがそびえているのが見えます。

 野生の動物が草を踏み固めたらしき、細めの獣道。ぽてぽてと二本足で目の前を歩くブチ犬のマスコットは、わたくしよりもずっと昔からマスターたちに仕えています。

「ここは前に来たのと違う土地番号ばしょだよ、アデレイド」

 彼は多機能デバイスを短い前足の肉球でフリックしながら、教えてくれました。星の周囲に人工衛星が飛んでいませんから、徒歩移動距離から推測するマッピング式のようですね。

「そうなんですか? 三世。わたくしがこの星に降り立ったのは初めてです」

「前回のボクたちはここで三十二種類の新しい植物を採取したよ。その中には四足歩行の植物もあったよ。だけどそいつらは、昆虫よりも劣る反射だけで行動していて、動きもトロかったし知性などは無かったよ」

 ほほう。

「マスターからの連絡によると、どうやら、二足歩行の青い花の植物がいるみたいですよ。そちらは『小動物なみの知恵があった』そうなのですが、進化した種類とかでしょうか。キャプテン・モリが仲良くなった、麻薬常習犯で暴力団員の受刑者が教えてくれたそうで……」

 と、お喋りしている進行方向に、青い花がいくつか出現しました。

 子供が描いたチューリップのような、丸い形の空色の花弁に、おしべに似た触角? みたいに動くアンテナ。そして、葉っぱに見える二本の足。

 あれ? まだ宇宙船を出発したばかりですよ? あまりの安易さに驚いて黙り込んだわたくしたちの目の前を数歩ほど横切ったところで立ち止まり、こちらの様子をうかがうように小首(?)をかしげます。『小動物なみの知恵があった』そうですが、たしかに、リスの群れのような雰囲気ですね。

 普通のチューリップより少し大きくて、植物学者であるキャプテン・モリが送ってきた、無駄に上手なイラストのまんまです。

「発っ見ん~っ」

 我に返ったわたくしはチュー(単数形)をエプロンのポケットに放り込むと、ウエストポーチのベルトにはさんだハンマーのハンドルをすかさず取り出しました。スイッチひとつで柄が伸びて先端に巨大な鎚の部分が出現しますが、コックピットの椅子を粉砕した時と違うのは、大きな円筒状の頭部が網になっているということです。手元を軽くひねると、ヘッドの円状の打面が片方、フタとしてパッカリとひらきました。

 便利!

 気分は夏休みの昆虫採集です。

「仕舞わせるがいいよっ!」

 ユキヤナギ三世がツナギから取り出したのは、梱包用の細い紐。

 こちらの意図に気が付いたのか、青い花はトタトタと葉っぱを動かして逃げ出しはじめました。……こんな感じの植物の化け物って、はるか昔の映画にいませんでしたっけ。リトルショップオブなんとかかんとか……ああ、あれはたしか鉢植えでしたね。こちらは意外と素早いです。わたくしたちは青い二足歩行植物たちを追いかけて駆け出しました。


     ◆ ◆ ◆


「……つ、疲れた」

 わたくし、そもそも秘書として雇用されたはずなのですが。どうしてこんな肉体労働をしているのでしょうか。

 一時間と少したって、ようやく木陰に座り込みました。全身の生体部分が疲労を訴えるので、ガラス瓶風のケースに入った市販の維持剤ネクタルを喉に流し込みます。青く透けた瓶の途中にくびれがあって、中に封じ込められたガラス玉が涼しげにカラカラと鳴り、いわゆる、お祭りなどで楽しまれるラムネそっくり。いったい誰の趣味によるデザインなのでしょうかねぇ。

 すうっと疲れが消えていくのを感知してから、どれほど走り回ったかも覚えていないほどの、広大な原生林を見回します。

 虫の声が響きます。

 低木の茂みは厚くて迷路のように複雑ですし、下生えにはすぐ足をとられるし、地面から浮いた木々の根っこが網の罠のようですし、何度も転んでしまいました。さんざんです。壊れて捕虫網の形から戻らなくなったハンマーを、チューが電気プラグな尾を伸ばして修理してくれました。

「少し歪んだだけだにゃ」

「ついでにこれ、バイクとかに改造してくれませんかね」

「可能だにゃ。だけど、ツタが木々を横切っているこの星では、運が悪いと首ちょんぱになるが、それでもいいかにゃ」

「よくないです!」

 若い身空で首なしライダーですかっ? ヘッドレス・ホースマンやデュラハーンになる趣味はまったくありません。

「勝利よ!」

 三世の雄叫びです。白い仔犬のような彼は四体目の歩行植物を紐で縛っているところでした。キツすぎずユルすぎず、絶妙な梱包具合。このまま宅急便で送れそうです。標本を捕まえたのはすべて彼でした。わたくしはついうっかり網ハンマーの前後を間違えていくつか粉砕してしまい叱られました。

 押し花にすればいいと思うのですが、細胞の組織を潰して体液? 樹液? 的な何かをほとんど地面に吸わせてしまったので、標本にするのは無理だとのこと。残念です。


「このぐらいあれば、充分なのよ」

 ユキヤナギ三世は、青い花弁の二足歩行植物を紐でまとめて、登山用にも見えるしょいこに乗せて背負いました。柴刈りに行くお爺さんのようですね。本を読みながら歩いたら昔なつかし二宮金治郎の銅像です。ビジュアルはハチ公いぬですが。

「では船に帰りましょうか」

 このあたりの植生は、スギに似た高く厚い森林です。

 常春号が着地した地点は、シダやソテツのような木が生い茂っていたはず。いくぶん遠くに来てしまったようですね。

「あちらから来ましたよね?」

「むこうだったにゃ」

「船はそっちなのよ!」

 三者三様。全員がみごとにバラバラの方角を指します。

 どの梢の向こうにも、あの大きな雪だるまの頭が見えません。ええっと? ふと、気が付きました。

「あ、そうでした。三世がマッピングアプリを使っていましたよね」

「おお、忘れていたのよ」

 ユキヤナギ三世がツナギのポケットから出した多機能デバイスを、わたくしもその背後から覗き込みました。……ええっと?

 なぜか現在地が、宇宙船から四十二.一九五キロ離れた地点になっています。いくらなんでも、こんなに足場が悪い森の中を一時間あまりでそんなに移動していては宇宙中のマラソン選手が嘆くでしょうね。

 三世からひょいっとデバイスを取り上げて一歩だけ前に進みました。――十四メートル移動。…………ええっと? ええっと?

「三世。これ設定身長が五十メートル近いんですが」

「そ、そそそ、そうだったのよ、ウッカリ設定ミスしたのよ」

 ユキヤナギ三世は、ぐるんっと視線を逸らしました。

 その姿にピンときて、彼の頬にデバイスの角をぐりぐりと押し当てます。

「もしかしてこれは、御自分の理想身長と体重ですか? ん?」

「い、いやいや単純ミスなのよ、ミス」

「元にする設定がズレていれば、そりゃあ距離もズレますよねえ?」

 ぐりぐりぐり。

 そういえば、ユキヤナギ三世はまだ幼生体。【わんこ族】の最終形態である第三次性徴がなかなか来ないのだと耳にしたことがあります。この身長と体重は、その理想的な未来を入力したものでしょう。まぁ、さすがにちょっと盛りすぎな気はしますが。

 彼の手足はとても短いですしね。

「五十分の一で計算しなおしたら一致するのではないかにゃ」

「ああ、そうですね」

 チューの提案にうなずきます。

 三世の実際の大きさは一メートルあるかどうかってところですからね。彼の一歩が三十センチほどの計算になるなら妥当でしょう。もちろんこの数字は、地図上の四十二キロを直線で移動したのではなくて、周囲を行きつ戻りつ右へ左へグルグルと廻って、最終的に現在地が、宇宙船までおよそ四十二キロだと出たのです。

 ……ということは、縮尺すれば宇宙船までは一キロ足らずということになりますよね? ね?

「よし。方角は一致している……と、仮定しましょう」

「――しかし、それが悲劇への第一歩だったのにゃ」

「黙れネズミ。あなたがフラグを立てるからですよ」

「にゃはははははは」

 薄紫色の電子ネズミは楽しそうに笑い、ユキヤナギ三世はしょんぼりとしています。とりあえずわたくしたちは多機能デバイスのナビゲーションが示している「宇宙船常春号の方角」へと向かって歩き出しました。


 ――そして、迷いました。

 ええ、ええ。考えてみれば、一キロ足らずの距離にいたならば、あんなに大きな宇宙船の雪だるまの頭がまったく見えないわけはなかったのですよね。……地面を転がったり、木々の間をジャンプしたり四つ這いで走ったりという三世の行動は移動距離にカウントされなかったのかもしれません。……どうして、そんなアプリを使っているっ!

「まあ、仮定と実際の数値はズレるものにゃ」

 と、チュー(単数形/無責任メカニック)はアッサリと前言をひっくり返しやがります。

 どこに向かっても元気に生い茂っている木々に阻まれて途方に暮れたわたくしたちでしたが、ガラガラヘビの威嚇音を大きくしたような響きに気が付いて、顔を見合わせました。

 そういえば。「地球でいえば白亜紀レベルの未開の星」と思ったのはわたくしでしたね。

「ぷぎゅ」

 目の前にいた三世の姿が消えました。

 一瞬で犬の形に地面にメリ込んでいます。三世を背中から思いっきり踏みつけているのは、トカゲのようなウロコが覆った塔のように巨大な丸太。いえ……爬虫類の足ですね。

「さ、三世っ、無事ですか?」

「……痛いのよね」

 なんとか見えているツナギのお尻と茶色い尻尾の奥から、土に埋もれてこもった声が返ってきます。

 いやいや、痛いどころじゃなくて。この広い宇宙でもトップクラスに頑丈というわんこ族じゃなければ、普通は死んでますよ?

 頭上に落ちかかってきた影におそるおそる顔を上げると、カラフルな鱗を持った巨大爬虫類きょうりゅうが、直立してこちらを見下ろしていました。肉食の太い牙はよだれの糸を引き、チロチロと覗く舌の先は二股に割れています。

 わたくしはとっさに、仔ウサギほどのサイズがある手の中のチューを投げつけました。

「いけーっ、ピカチュウ!!!」

「にゃああああああ!?」

 投石は人類の原始的な本能による攻撃ですよね! アンドロイドですけれど!

 わたくしの優秀なる頭脳の計算通りの放物線をえがいたチューは、みごとに、こちらを狙っていた恐竜の眉間へと激突しました。

 先端が二股プラグになったネズミの尾の先から恐竜の顔に向かって、電気による小さな火花が上がります。……いえ、そこまでピカチュウしろとは言ってないのですが……。

 ちなみに。わたくしは神経と頭脳の一部を除いて生身ではありませんが「じゃあ、食べられないからいいじゃん」と言う人は、ご自分のスマートフォンやパソコンを、御近所の猛犬か赤ん坊にでもおもちゃとして提供なさるといいですよ。動物園に持って行って、顎の力が三百キロだの一トンだのと言われているワニに噛み砕いてもらうのでも構いませんね!

 ……というわけで、跳ね返ってきたチューをうまく両手でキャッチしたわたくしは、恐竜がひるんだ隙に駆け出しました。わたくしはヨダレまみれになるのも、おもちゃとして壊されるのもごめんです。

「……そういえば、前回もあんなのがいたのよ」

 バネ仕掛けのように起き上がって隣を走り出した三世のツナギには大きな足跡や泥汚れが残っていますが、怪我したようすはありません。ほんとに丈夫ですね。

 今さら思い出したように言うその三世の背中を、叩いてどやします。

「早く言ってくださいよ!」

「サイに似た重い爬虫類がいたのよ、速度は遅いけれども集団であたり構わず走るから観測箱が踏みつぶされたのよ」

「えっ。だったら、常春号も危険じゃないですか」

「大きな物は大丈夫なのよ。ただ、その爬虫類より小さいと……」

 ユキヤナギ三世は立ち止まりました。

 前方に巨大な固まり。

「これが、その踏みつぶし竜よ」

「ふむ、たしかにサイに似てるにゃ」

 わたくしのポケットから頭を覗かせたチューも同意しましたが、わたくしは首をかしげました。似ていますかねぇ? たしかに体型はサイとか牛の系列です。常春号よりはぐっと小さいですが、太い足先から厚い肩までの体高がわたくしの倍。横向きに倒した旅行トランクに四本足と四角い頭をくっつけたような巨大な恐竜が何匹か、目の前をのっそり横切っていきます。

 分厚そうな表皮は、端が重なっていて鎧のようです。そして頭には角もふたつ生えています。箇条書きならサイっぽいです。……でも。その角というのは鼻先に縦並びで生えているのではなくて、本来ならば目があるべき部分に並んでいるんですけれど……。それに、虎かシマウマのような白と赤のシマシマ模様って、あまりサイらしくないですよね。

 その盲目の(とはいえ、おそらくは視覚ではなくてほかの器官で周囲を認識しているのだとは思います)サイの頭部が、ふとこちらへと向きました。その一頭に倣ってほかの数頭も歩みを止めました。警戒するかのように頭をぐぐっと下げます。目が離せません。

「……ええっと、三世『その爬虫類より小さいと』なんですって?」

「……踏み潰されるのよ」

 サイ(?)恐竜たちのぶっい足が、次々と地面をかきます。

 わたくしの豊富な地球系教養の中にある、闘牛を思い出しました。マタドールを前に荒れ狂った猛牛がこんなジェスチャーを見せて……。土を蹴る激しい音!

「やっぱり!」

 一斉に襲ってきました!

 一難去ってまた一難。わたくしたちは必死で逃げ出しました。


 それからも、色々な恐竜たちから逃げ惑ることになりました。基本的にはどの恐竜も足が遅いところだけが救いです。

 しばらく走り回っていると、なぜかいきなり爬虫類たちが躊躇するかのように立ち止まり、こちらを追わずに方向を変えました。

「あれっ。近寄ってきませんね……」

 このあたりだけ木々が根元近くから折れて広場のようになっています。……いえ。折れたのではなく、刃物のようなもので切断されていますね。脳裏に浮かんだのは、クワガタのような形の鋭利な角がある恐竜です。そんなのに出会ったら厭ですよ。

 しかし、わたくしたちがすっかり忘れていたことがあります。


 Q・この惑星に二足歩行植物がいると、マスターたちに教えたのは誰でしょう?

 A・キャプテンが仲良くなった、麻薬常習犯で暴力団員の受刑者です。


 つまり…………。

「おう、なんだおむぇら」

 発音が浸食された巻き舌。

 この星ではじめて遭遇した人間です。

  岩のような肌を横切る古傷に、黒いスーツと靴と灰色のネクタイ。サングラスとインカム。ただし葬儀社社員でもMIBでもなくて、マフィアかヤクザかカモッラですね、間違いなく。

 懐にはあからさまな銃器のふくらみがあり。同じような黒ずくめの格好をしたさまざまな星系の人種たちがこちらに集まって来ながら「オジキに報告してこい!」などと叫んでいます。


 彼らのさらに後ろには牧場のような有刺鉄線の柵があり、真っ白な花弁の二足歩行の植物が中をたくさん走り回っていました。……シュール!

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