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「お父……さん??

どういうこと……だって私のお父さんは何年も前に……」


「亡くなってないよ」


「え……???」


この子が何を言っているのかわからない

お父さんが生きている?

どうして?

私の記憶は嘘だった?サルタンサの人達もみんな嘘をついていた?


「まあ、ボクの口からはこれ以上言えないんだけどね」


「そんな……

で、でも!お父さんの居場所知っているんでしょ!?」


「知らないよ

ううん、正確には普段いる場所を知らないんだ

呼ばれたところに行けばいるって感じだからね」


「そう……なんだ……」


自殺をしたらこんな所に来てしまって…おまけにお父さんが生きているなんて………


「私は……どうしてこっちの世界に来てしまったの…?この世界って何…??どうして馬が飛んでるの?どうしてアイルくんには……その……耳が……」


分からないことだらけで頭がパニックになりそう


「落ち着いてマリアンヌ

ここはエスポワールド、通称Eワールドって呼ばれている所さ

単純に言えば裏世界だね」


「裏世界…」


「飛んでる馬…やボクの話は後々するよ!

少しずつ順応していこう!」


「わ、わかった………あの、私…これからどうすれば………

………アイル君……?」


私が言った事は聞いてないのか、アイル君は私の服をじっと見ている


「え……えっと…何か変…かな?」


「ううん、すごく似合ってるよ。でもその格好のままだと少し目立つと思ってね…」


そういうと、どこから出したのか大きいカバンを取り出し「これを着てよ」と言い、アイル君は上が白くてスカートの部分が緑色のワンピースを差し出してきた


「これも合わせた方が可愛いよ!あとは靴だねー、靴のこと頭になかったんだよね…しばらくそのままでいいかな?」


そう言って茶色のスカートに合わせる服も渡してきた


「あり…がとう…」


アイル君の勢いに押されて受け取るしかなかった


楽しそうにしてるアイル君に、話を戻すことが出来なかった


「あ!マリアンヌの着替えは覗かないからね!?後ろ向いてるから!」


「えっ!?あ!お願いします…」


「着替えたら呼んでね~!」


そう言ってアイル君は後ろを向いた


(………私は……死ななかった……)


もし…この世界でも同じような扱いをされたらと思うと怖くなった

アイルくんという少年が何者なのか、どうして私の夢に出てこられたのか……

考えても何もわからないけれど


「…着替えたよ」


「わ!ほんと!?

うわぁ!いいね!似合うよマリアンヌ!」


「ありがとう…?」


勢いよく振り向いたアイルくんは凄く嬉しそうにしている


「じゃあとりあえず宿探さなきゃだね」


「え…う、うん…?」


「疲れたらおんぶするから言ってね」


「だ、大丈夫…!」


よくわからないまま話が進んでいるけど…一緒にいてくれるってこと?


「あ、あの、ありがとう…ございます…い、一緒に…いてくれて…?」


そう言うとアイル君は綺麗な黄色い瞳を細めて笑った


(なんて……綺麗に笑うの……)


こんな純粋な笑顔を見たのは何年ぶりだったんだろう

そう思っていたらアイル君は何かを思い出したように話しかけてきた


「あ、そうそう。マリアンヌ!野生の動物には近づかないでね

すぐ君に襲いかかってくるはずだから

あと見知らぬ人間にも近づかないこと!」


「え!?な、なんで私に襲いかかるの!?」


「美味しそうだから?まあ、キミ限定じゃなくて人間は危ないよ!」


「そ、そうなの?やっぱ野生だからかな…」


「普通の、ではないよ?」


「え?」


聞き返したら「さあ出発~!」と言って手を差し出してきた

私の手を差し出すとそっと握って歩き出した


この世界に来てから謎ばかりだ

やっていけるのか不安になってきた…


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