タイトルのさりげない格好よさに魅力を感じて読み始めました。
てるまさんもレビューで書いている通り、どこか切なくリアルな話。地味な割に(主人公に限らず)キャラが確立されている感があります。意味なくハッピーになってくれとまでは言わないけど悲しい結末にならないといいなあ。この流れだとそれも充分考えられるよねえ。
それはさておき。このままでも決して自分は嫌いではないんですが、タグに純文学と銘打つ以上は文章表現はもう少し練って欲しい気がします。
以下、ちょっと偉そうで小うるさいことを。
動作の主体がはっきりと分かる時は主語(名前)はわざわざ書かないほうが「文学っぽい」です。「でも、誰がやっていることかちゃんと書いたほうが親切だよね」と思って自分もついついやってしまうのですが、これを意識的に減らすとだいぶすっきりするはずです(というか自分もそうしたい)。
あともうひとつ。「○○が、××」と、逆接の接続詞「が」で文章をつなぐところを見直すのはどうでしょうか。などと偉そうに言っていますが、これも自分もやってしまうので直したいところです。この場合、ふたつの文章を「が」でつながない(案外、「が」を抜いてもおかしくない場合は多いです)、他の接続詞を使う、どちらかの文章を形容的な表現として一つの文章にまとめてしまう等々、考えてみる価値はあると思います。
偉そうにすみません。よくわからない比喩や形容表現でゴテゴテ飾り立てるような文章より小西モンステラさんの簡潔な文章のほうが自分の好みなんです。簡潔でありながら「文学っぽい」表現は充分に可能だと思います。
続きも楽しみにしています。頑張ってください。
そういえば、猿川西瓜さんの『バシ』という話がすごく「文学」していて面白かったです。よろしければ。 https://kakuyomu.jp/works/1177354054882880801
※6月11日、最後まで読み終えたので追記
前言撤回。文章表現どうこうじゃなくて書こうとしている内容が「文学」だった。読み終えてみると文体そのものが登場人物たちの不器用な生き方を表しているのではないかとすら思えてくる。「タイトルのさりげない格好よさ」って思ったのは間違ってなかったな。さりげないどころじゃない、ストーリー全体を包んで余韻までしっかり残す、すごく良いタイトルでした。見習いたい。