第43話 隠した正体 05

ガルードを治療しベースキャンプに戻ると僕らは作戦会議を始める。

ガルードの話だとミイナはAランクの魔物が合成されているって事なんだけど、ガルードが何も出来ずにやられる位だ。

本当なのだろう。


「レッドデビル相手にギリギリだった僕らに相手できるのかな? 」

「その場に俺とフルアは居なかったろ。4人居たら圧勝できる。」


本当かな?

確かにガルードとフルアが居たらもっと楽に勝てただろうけど。

僕ら4人じゃAランクの魔物に勝てるとは思えない。


「そんな顔すんなよハルト。勝算が出来たのはお前のお蔭なんだぞ。」


僕の不安を感じ取ったのかガルードがそんな事を言った。


「僕のお蔭? 」

「ああ、お前がハイエストを使えるようになってくれたからな。上級魔法は使えないけどな。コレが無かったら正直まともにやっても勝てなかった。」

「上級魔法が使えないのは余計な情報だよね? でも僕は守るだけで攻撃は何もできないよ。」

「それだけで十分っしょ。Bランクに上級魔法使い1人で勝つのが大変なのは戦いながらまともに詠唱できないからな訳だし。」


確かにそうだ。

こちらは詠唱しないと強力な魔法を使えないのに対して魔物はノーモーションで使ってくる。

まともにやってたら勝てない。

だから協力する訳で。


「後は俺が、いや皆で何とかすればいい。それじゃあ作戦を伝えるぞ。」


作戦会議の後、僕は何時もの様に戦うであろう場所で魔術陣を作りに出た。

ガルードの話だと僕は皆を守るだけでいいって話だけど出来る事はやっておきたい。

なんだか何かある度にこうやって深夜に魔術陣を書いてるな。

本当はよくないんだけど、やらないと不安だから仕方ないか。

時間も無いしね。


「ハルト君こんな時間までやってるの? ほら、コレ飲んで。温まるから。」


夜一人で作業をしているとシャルルがホットミルクを片手にこちらに近づいてきた。


「ありがとうシャルル。でもいいの? もう夜遅いよ。しっかり寝ないと。」

「それはハルト君も一緒だよ。そうやって準備するのもいいけどしっかり休まないと戦えなくなっちゃうよ。」


シャルルは僕の問いかけに呆れながら答える。


「そうなんだけどさ。でも不安なんだよ。だって負けられない。いや、何時も負けられない戦いだけど。今回は特別だし。だからシャルルは先に戻ってて。」


ここで負けたら村の人達だけじゃない。

ユウとミイナも助ける事が出来なくなる。

そんな悲しい運命を変えるために負けられないんだ。


「そう言うと思ったよ。だから私はここに来たんだ。ハルト君が帰るまで私はここにいるからね。」


冗談っぽく言ったけど目が本気だ。

本当に僕の作業に付き合うつもりなのだろう。

僕はどうでもいいけど、病み上がりのシャルルにまで無理させたくない。


「……わかったよ。後少しで完成だからそうしたら一緒に帰ろう。」

「ごめんね。こんなの卑怯だよね。でもこうしないとハルト君休まないと思ったから。」


申し訳無さそうにミルクを飲むシャルル。


「いや、シャルルの言うことも一理ある。シャルルが来てくれなかったら僕は休まず続けていたかもしれない。ありがとう。」

「明日大丈夫かな? 」

「大丈夫だよ。きっと夜には皆で仲良くギルドハウスにいる。」

「……頑張ろうねハルト君。」


僕はシャルルに貰ったミルクを一口飲むとまた作業にとりかかった。

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