第28話 少女に振り回されるのも悪くはない
レッドデビルとの戦いから3日が経った。
フルアの治療のお陰で一命を取り留めたシャルルだったが、未だに意識を失ったままだ。
フルアが言うには瀕死な状態で限界まで魔力を使った反動で、もう少しすれば目覚めるだろうと。
この件をガルードが村長に報告すると、ここの所の事件はレッドデビルの仕業だと言うことになり依頼クリアとなった。
依頼をクリアしたのだからもうこの村に要はないのだが、シャルルの容態が回復するまでこの村でお世話になることに。
今は村の外れにガルードが用意したベースキャンプで交代でシャルルの面倒を見ながら生活している。
「起きた? 」
「いや、まだだよユウちゃん」
ユウとミイナも毎日僕らのギルドハウスにやって来る。
ユウは僕に魔術を教わりに、ミイナはガルードに何か用があるようだ。
今日も朝から一緒にどこかに出かけている。
「シャルルは私に任せてユウに魔術教えて上げなよ。」
シャルルの横に座り本を読んでいるフルアが顔を上げ声をかけてきた。
「いいの? 一昨日からずっとじゃない。今日は代わるよ。」
フルアは寝ているシャルルの頭を優しく撫でる。
「この子がここまで頑張ったからね。私は何もできなかった。だからせめてしっかり面倒見て上げようと思ってね。」
「そんなことないよ。フルアが居なかったらシャルルは助からなかった。」
「それでも私が一緒にいたらこんな事にはならなかった。」
悔しそうに手を握りしめるフルア。
気持ちはわかる。
僕もフルアの立場だったら同じ気持になるだろう。
「フルアのせいじゃない。前も言ったけど僕が逃げ出したから」
そう。
僕がしっかりしていればこんなことにはならなかった。
全部僕がいけないんだ。
「あー、もうこの話は止め! 気分が落ち込む。誰も得しない。とにかく私がやりたいって言ってるんだからサッサと行きなって! ユウも待ってるよ! 」
フルアは出入口の前で立つユウを指さしながら手を振りサッサと行けと催促する。
確かにこのままだとユウが可哀想だ。
せっかく真面目に毎日魔術を教わりに来てるのに。
「わかったよ。ごめんフルア。行ってくる。」
「おう行ってきな。」
僕はユウを連れてヒラヒラと手を振るフルアを尻目にベースキャンプを後にした。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます