いつの世も、愛欲に溺れる男は愚かで、女の情念は心が凍える程に凄まじい。そう思い、思わず鳥肌が立った。大陸の覇王に生け贄として捧げられた、敗戦国の若く美しい巫女。純潔を奪われ、憎むべき敵国の王に夜毎抱かれながら、愛してはいけない男に惹かれていく女の情念が、妖艶に描かれる。読み進めるうちに、この禁断の愛は本物の愛情へと変わって行くのだと信じたくなった。表題の意味するものが何なのか……最後のどんでん返しに、ぞくり、として頂きたい。