第2話 校舎の窓

こんなのは夢でいいと思った。


鼓膜を遠い悲鳴が満たしていく。

「誰かが飛び降りた!」

身体が震えている。手足から少しずつ痺れていくのを他人事のように考えていた。

絶対、目が合った。

何気なく窓の外を眺めた瞬間、外の景色を切り取ったそれが窓を見つめたまま、落ちた。


帰ろう。早く、速く。


人の波があふれて、視界を飲み込んだ。

せめて、あそこの昇降口から見えないようにバリケードを張ってほしい。あの子が明日、嘘だよと笑って挨拶できるように。私が、事実を知る前に…。

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