第4話

ある朝、酒井は8時15分に目が覚めた。


「やば!遅刻しちゃうよー!」


酒井は服だけ着替えて学校へ向かった。


一時間目の始業のチャイムが鳴るのと同時に酒井は席に着いた。


「はぁ~!なんとか間に合った!」


酒井はほっと吐息をついた。


しかし一時間目が始まってまもなく、酒井の体に異変が起こった。


なんと、トイレに行きたくなってしまったのである。

というのも、朝急いで家を出てきたため、トイレに行く暇がなかったからである。


酒井は時計を見た。

9時5分だった。

一時間目が終わるまで、あと15分の辛抱である。


15分くらいなら我慢できると思い、酒井はそのまま授業を受けていた。


ところが授業が終わる5分前のことである。

突然、前の席に座っていた男子が、落とした消ゴムを拾おうと椅子を引いて立ち上がったのである。


その時引いた椅子の背もたれが酒井の机にぶつかり、あろうことか机が押されて酒井の腹に深く食い込んでしまった。


瞬間、酒井は大声を上げて立ち上がった。


後ろの席に座っていた男子が、立ち上がった酒井のズボンを見て言った。


「おい、酒井。お前、ズボンぬれてるぞ」


酒井、人生最大の失態であった。

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