第3話

酒井の母は、反省した様子のない娘にすっかり呆れかえっていた。


「舞由李」と、テレビの前でマンガを読んでいる酒井に、母はきつい口調で言った。


「漫画読むのは構わないけど、そのボッサボサの髪なんとかしなさいよ」


「うるさい、オニババア!」


「まあ!なんて口の利き方でしょう!ママはあんたにそんな教育した覚えはありません!」


「あんたの子供なんだからしょうがないでしょ!何が“ママ”だよ。あんたなんかママって柄じゃないし」


「ふん!家に入れてやるんじゃなかったわ」


母はそう吐き捨て、リビングを出て行った。


しかし実際、酒井は自分の髪が気になっていた。


「やっぱり美容院いこうかな…」


結局酒井は美容院に行き、生まれて初めてベリーショートになったのであった。


酒井の記念すべきショートカットデビューの日であった。

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