憎しみの果てに……

水の中を泳ぐけど限界だ……だめかもと思ったとき淡い光が私をつつんだ。

クリス姫がくれたネックレスだ。

先のほうに沈みそうな瑠璃ちゃんがいる。

水圧がすごい…………

「許さない……幸せなんて……」

水の中に黒い油のようなものが広がる

必死になって泳いで瑠璃ちゃんのもとへ行く。

ネックレスをだした瞬間

ガッ!

蛇のようなものに噛まれた

「ゆるせない……ゆるせない……」

痛い……

痛さでネックレスを離してしまった。

ゴボゴボ

水の中に沈んだ

真也……

父さん、探してくれるかな?

昴さん…………


「あなたはだれ?花音を返して。」

瑠璃ちゃんの叫び声で目をあけると赤い部屋だった。

両手も両足も縛られているようだ。

中心の台の上に泣きじゃくるカノチャンがいた。

「この子の命がおしければ言う通りにしなさい。」

赤いドレスに黒いベールをかぶった女性がユックリと歩く。

瑠璃ちゃんは球体の中に閉じこめられている。

「この女を殺すのよ。」

金髪の女性がカノチャンの台のとなりに寝かされていた。

鎖で縛られている体には無数の傷がある。

「なんで殺さなきゃならないの?」

「この女は私を侮辱し苦しめた。醜い顔と体とね。」

バシッと女がふった剣が女性の美しい金髪を切り落とす。

「殺すなんて間違えてる。私だって言われたふさわしくない…………」

「おだまり。」

瑠璃ちゃんの首を巨大なミミズが締める。

「あなたは『ガイア』のメンバー全員に愛されて幸せじゃない。私は愛されない、女ならいい男にいいように使われるだけ。あなたにはわからないでしょうね。つかいふるされ捨てられた女の気持ちなんて。」

何か言わなきゃ

口がカラカラで言えない。

「苦しんで苦しんで死ねばいい。私達の愛しい人を好きなように操る悪魔。」

足元からひがせまる

熱い!

「あなたは昴が好きなの?好きなら好きて言えばいいじゃない。」

それでも叫ぶ瑠璃ちゃん……パニック状態なのだろう。

「可愛いわね。私は子供が育たない子宮なの愛しい人の子供を産みたくても産めない。妊娠した時は産めなかったわ…………」

カノチャンに湯気のたつお湯をかけようとしている

「やめて!花音には罪はないでしょ。」

瑠璃ちゃんが叫ぶ

「あなたは昴さんに愛されない。昴さんも『ガイア』のみんなも人を殺すような人を好きにならない。」

かすれ声だけどでた。

「おだまり!この子は殺さない私があなたになるんだから。私が星砂瑠璃になるのよ。」

アツい…………行ってることがメチャクチャだ。

「これはね眠らせて今を忘れて貰う薬よ。」

女性の手首を切って壺に突っ込む悲鳴があがった。

なんて残酷な

「あんたもああなりたい?あんたに私は恨みないけど約束なのあんたを殺したら私を日本一にしてくれるって。」

ベールからかすかに見える口もと……

「どうやって殺る?あんたはどうしたいの?」

となりに写る影は女の子

見覚えある

確か真也の猛烈なファンの子……

熱い、炎が強くなった。

バシッビシッと音がする

「辞めろ!」

氷のつぶが飛んできて炎が消えた。

シャー!

猫のような顔にデッカイハムスターのような体に長い尻尾桜だ。

「おのれーじゃまするな。」

シュッ!シュッ!

壁にかけて会った剣をタツヤさんが手に取りたたう。

シャー!ガアア!

桜の攻撃でベールが取れた。

「アリサ?」

タツヤさんが剣をゆるめたしゅんかん

女の髪が伸びた。

「うわっ!サクラ、花音を頼んだぞ。」

タツヤさんが瑠璃ちゃんと私を助けようとするが無数の蛇に囲まれる。

急に咲き始めた花が甘い香りを放つ、私の意識は遠ざかっていった。


『ブース、ブス。化粧してやるよ。』

アハハアハハ

ペン先と白い仮面のような顔がある

『アリサてあのトウマの娘やばくない?』

…………過去の苦い思いでだ。

イロイロな声が仮面の群れからもれる

私は耳をふさいだ…………

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