静かな時間

まわりの環境はおいといて

私は本来は高校生である

奥多摩に人は来なくなったので

工房を復活させるリコと共に戻ることにした

「あなたが来る必要ありません。キラさんは僕がお守しますから。ワンワン。」

また何かあったらという理由でカナが姉さんを連れてきた。

パテシェの仕事しているチカさん、急がしいはずだけど?

「なんだこいつ?」

黒髪の美男の頭には黒い犬耳、お尻から尻尾、彼は犬である。

「例の事故で人間になったコテツだよこいつ。」

カナがそう言って尻尾を引っ張る。

「キャイーン!」

ボフッ!

黒い毛の長い秋田犬がカナに噛みつこうとして木刀をかみくだく。

ボディーガードつける必要ないけどね、陸地から入れる方は立派な高圧電線つきの塀があるんだから。

お城の跡地から銀色の木が数本生えていてそのまわりに小さな池が出来ていた。

「さすがに勘九郎もお手上げでちゃんとした大工が来て校舎のとこ工事したから住みやすくなったよ。」

カナの家族、蔵元一家は星砂会長の護衛をしているらしい。

チカさんは瑠璃さんの専属ボディーガードだったらしい。

「キラキラお久しぶり!」

聖さんに抱きつかれ私はよろめく。

「おかま、いきりなり抱きつくな。」

チカさんのタックルを聖さんはひらりとかわす。

リコが仕切る工房は聖さんとカスミンのデザインナーのカスミさんの作品1号を作る工房でもある。

聖さんは『ガイア』専属なので衣装デザインが本職だ。


「もうわがまま金持ちと芸能人の注文は受けないことにしたからこっちに事務所も移したの。新しいブランド、JKゴシックが軌道に乗ったから私が見張る必要もないし。」

壁にはゴスパンに制服会わせたような作品が掲示してある。

「聖先先生にラルさんの装飾術見せたかったです。すごいんですよ、指に糸を絡めただけであっという間にレース編み出来ちゃうんです。」

カナがライさんと衣装作った話をする。

「素敵なデザインね特にこの龍鱗まで細かくて素晴しいわね。この衣装あの惨事で駄目になっちゃったのかしら?」

「昴様のお話だと異世界の王様が持って帰られたとか。」

カナは紋様の話とか詳しいことは知らない。

「写真はあるわね。まあどんな生地を使ったの?色といいデザインといいビューティフル!」

異世界からの生地ですって言っても信じて貰えるのかしら?



新しくうまれ変わった星砂屋敷は和洋まじった美しい空間だ。

その三階にある見晴しのいい部屋が私の部屋と勉強するスペースでカナ、リコと共に勉強出来るようになっていた。

「夏休みがイロイロありすぎたから休みボケした。」

カナがフアーと体を伸ばす。

リコは机で勉強中、詰め込まないと仕事出来ないらしい。

勉強しなくてもリコなら服作りで生きて行けそうだが大学でちゃんと勉強したいそうだ。

カナは普通に就職して大手企業で働くと言っているが勉強せずにゲームにぼっとうしてることのほうが多い。

私はシンヤと生きて行くんだろうけど、ヤッパリいずれは就職だよね。

騒ぎがあったのが嘘のように静かな時が流れている。

窓から見える奥多摩湖は色づき初めて秋の気配がただよっている。

明るい日の差す部屋には猫たちの溜り場になっている。

眠くなってきた…………。

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