パニックパーティー

地下だけどテラスがある部屋は居間で小さな階段がついていて広いバルコニーがある

そこにはCDやら本やらいっぱいの棚がある小さな部屋になっている。

下の部分はテラスのそば以外は居候達や本来の持ち主が仕事で使うのでパーティー前は片付けが大変だ。

「ユーのやつまた勝手に使ったな。」

何枚かの書きかけ五線紙とゲーム機を片しながら真也がつぶやく。

ユーは真也のバンドのボーカルでうちに勝手に居候してる人である。

床下倉庫に詰め込まれてるけどここも整頓しなきゃまずいよね。

「重い。」

「ルーちゃん無理しないで、僕とサヨがやるから。」

壁に埋め込み式の机をだすのに苦戦している瑠璃ちゃんを真也がどける。

「キラもムチャしない。」

イスを持ってきたらサヨさんに怒られた。

これあんまり重くないんだよ。

机もイスも手造り、学園の木工建築部の面々が作ったもの。

どこから持ってきたんだろうこのでかい石、テーブルは石の板なのだ。

「誰よこんなとこにくつ下………」

「それはトシニイだと、ちぐはぐだし穴あいてるからニックが持ってきたのかも。」

うちの犬達たまに洗濯物を持ってくる。

ボックスに入れない男達が悪いんだけどね。

散らかった部屋を片すのは大変だ。

これでもかってぐらいゴミも出た。


なに?この豪華な中華………大皿いっぱいだし。

「昴が中華食べたいて言うから龍馬さん達が張り切りすぎてすごいことになってる。」

瑠璃ちゃんも苦笑してる。

龍馬さんは『ガイヤ』専属の料理長なんだとか。

「ギャー!おち、おちたら死ぬよ樹里!」

ユーくんの悲鳴がきこえた。

「なんだ?樹里お前はどういう寝かたをしてるんだ。それじゃあ尻隠して頭かくさず、つうか人の家に穴ほるなよ。」

玄関にでた真也の声で私がのぞいた

なに知らぬ顔した樹里さんが降ってきた。

うちの玄関のドアは天井にあるからビックリはしないけど………

ユーくんそんな壁にへばりつくなら他の入り口から入ればいいのに。

「ユー、普通に階段使え。」

あわてて階段をつかんで降りてくる。

はじめからそうすればいいのに

「樹里、寝るならちゃんと寝てくれないとユー危なく踏むとこだったよ。」

どうやらジュリさん穴をあけて寝ていたらしい……なぜ?

寝る所はいっぱいあるのに

無断侵入はいつものことなので居間では普通に龍馬さんたちが動いている。

瑠璃ちゃんなんて普通に授乳してるし。

「おはようございます!て夜だった。 樹里さん落ちなかったんだ。ミーちゃんてっきり落ちたかと思ってた。葉月は風呂に放り込んできたスッゴク臭かったから。」

双子の弟を放り込んできたとは

ひどいいいようである。

『ブラッドムーン』のメンバーは葉月以外はそろった。

リーダーでギター、真也

ベース、樹里

キイボード兼ギター、美月

ボーカルユー

ドラム、葉月

iveの時はメイクしてるけどみんな素っぴん、美月なんてメガネをかけて『ドロフィーヌ園』の制服きてるから完全にただの学生………

美月と葉月は高等部の1年である。

「美月、池につきおとさなくてもいいだろ。馬糞くさかったのは認めるけどさ。」

文句を言いながら美月と瓜二つの男の子が入ってくる。

葉月である。

風呂場じゃなくて未完成の温泉に美月は葉月を入れたらしい。

馬糞て何をやってたんだろ?

「ただいま。かのちゃんまた大きくなりまちたねパパは遅刻でちゅよ。」

かのちゃんにメロメロになっているのはトシさん、この家の主人、昴さんの乳兄弟『ガイア』のボーカルだ。

「昴は遅れるってさ。先に食べようぜ俺腹へって死にそう。」

ギョロリとした目に着くずした着物に皮パンに下駄というものすごい恰好なのは『ガイア』のギター晋作、

あとから眠そうにきたのは同じくギター、タツヤ。

「うっすお疲れ様です。『ブラッド』はメンツそろってるな。ああはら減りまくり昨日はレコまでやってまぢ疲れた。」

つまみ食いしながらどかっと晋作さんが席につく。

「柊はナホを向にいったから、先にはじめてよう。」

タツヤさんが言い終わるのと同時にユー君がビールのせんをあける。

「ユーこぼすなよ。ああもう俺がやる?」

ああ、床がびしょびしょ。

真也が『ガイア』の三人にビールを振舞い、サヨさんと私は雑巾とりに立ち上がろうとした瞬間、ドカン!すごい音がしてトシさんがあわててかのちゃん抱いて飛びのく。

バキバキ!

「ストップ、ストップ………」

ドカーン!

金髪の男性と馬が飛び込んできた。

「昴、あんたは可愛い娘を殺すき。」

サヨさんがお玉で思いっきりたたき、泣き出したかのちゃんをトシさんがあやす。

「ヨチヨチ、こわかったね。」

私はまだ暴れてる馬をタツヤさんと二人でおさえる。

「あーなんでこうなるんだよ。ちょうビール臭い。てめえかけるなもったいない。」

ユーくんがこぼした所にダイブしたあげくユーくん、が焼酎とビールを頭からかけたのであわれな姿になった男性は星砂昴、『ガイア』リーダー、ドラム、『ドロフィーヌ学園』の学園長である。

「お前も道連れだ。」

タツヤさんまで巻き込まれて大騒ぎだ。

ザバア!

「お酒はかけるもんじゃないからね。」

サヨさんに氷水かけられ騒ぎはおさまった。

「もったいない、食うから置いとて。」

木の破片と酒のかかった料理を下げようとした龍馬さんを樹里さんが止めた。

この状況でもモクモクと『ブラッドムーン』のユーくん以外のメンバーは食べていた。

「まったくもう無駄なことは辞めてほしいわ。キラ姫はコンスケを馬小屋いれてきて。」

足踏みしてたコンスケをうながす。

『臭い。臭い。』

「ママのとこ帰ろうね。」

破壊された壁の向こうは石の廊下になっていた。

いつのまにか、部屋ふえてるし。

破壊されたドアからでると小さな放牧よう広場につながっていた。

星がきれいに出ている。

見馴れた空には星がいっぱいだ。

中の騒ぎが嘘のように静かだった。

『あっママだ。』

白い馬がかけてくる、コンスケの母親の白羽だ。

「白羽またかい。ああコンスケお前はどこに行ってたんじゃ。」

馬番のゲンジイが来る。

「ゲンジイ、コンスケ閉じ込めといてね家破壊される。」

あいよと返事して去っていく、まわって帰らなきゃ。

バイクのエンジンの音がしたから柊さんも到着したようだ。


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